妖精の住む惑星「エサラグーン」が舞台、新潟県出雲崎町を拠点に活動する気鋭の絵本作家・武田悠夢(たけだゆめ)さん
絵本作家の武田悠夢(27歳)さんが、新潟県出雲崎町を拠点に創作活動を続けている。悠夢さんは、長岡市の生まれ。2019年頃から本格的に絵本作家としてのキャリアをスタートさせた若手作家である。
悠夢さんが描く物語は、彼方にある惑星「エサラグーン」に住む妖精たちが主人公となっている。「エサ」は越後、「ラグーン」は潟が由来しており、新潟にちなんだ造語となっている。妖精たちの姿は、影やシミのような日常の何気ないものが、元になっているという。これまで『黄金の街』『めじうむさまのお祭り』など、多くの作品を発表しており、その作品は子供から大人まで、男性女性問わず幅広い世代から支持を得ている。
自身を「ファン第2号」としている母親の武田由紀子さんは悠夢さんのマネージャーを務めている。由紀子さんによれば、悠夢さんが絵を描き始めたのはある程度の年齢になってからのことで、幼い頃は、絵を描くことに特段関心があったわけではなかったという。高校時代は卒業後の進路が決まらず、看護師を目指したこともあった。最終的にはデザインの専門学校に進学した。
転機となったのは、学校の卒業制作として制作した絵本が、東京の大手出版社が主催したコンクールで「優秀賞」を受賞したことだった。自信をつけた悠夢さんは、そのまま絵本作家の道に進むことを決意した。現在は、新潟県長岡市末広にある「ギャラリー彩」や新潟県見附市昭和町にある「ギャラリーみつけ」など、新潟県内複数のギャラリーで原画展を開催している。作品は出雲崎町のふるさと納税返礼品としても扱われている。
「これからもいろんな人に愛される作品を作り続けたい」と語る悠夢さん。「図書館の話や、みかんの話など、描きたいものが山ほどある」と意欲的だ。彼女の才能に、ますます期待が寄せられる。今後の活躍が楽しみな作家である。
(文・撮影 湯本泰隆)