【妻有新聞】「県はなんでも応援する」 花角知事車座トーク 若手農業者ら5人直接対話

「車座トーク」で花角知事が来町、地元農業者と対話した(4月13日、町文化センターで)

「この地域は一年中農業ができる場所ではない。若い人たちが思い切ったことができるようにしてほしい」など、農業者と花角英世知事が直接意見を交わした。知事が県内市町村に出向き、住民と意見を交わす「知事と一緒に車座トーク~地域の元気づくりを一緒に考えよう」は13日、津南町文化センターホールで開催。『農業立町』を掲げる町の農用地は3499ヘクタール。うち水田は1998ヘクタール、畑1245ヘクタール。コメ作りだけではなく、国営事業で開発した耕地を畑作活用しているのを前提に、テーマは「中山間地域のおける園芸振興」に設定。5人の農業者らと言葉を交わした。ただ住民には事前アナウンス一切なしでの知事来訪。町総務課は「県に確認した所、広報無線などで周知しなくてよいということだった」と説明している。

車座参加者はJA津南町・宮澤嘉孝組合長、青年農業士で昨年法人化したフィールドボックス・飯吉友恵社長、設立5年目で農業・飲食業など幅広く手がける農業会社・麓の樋口貴幸代表、日本一のユリ『雪美人』を生産するユリ切花組合・大口貴裕組合長、7年前から津南野菜発信を連携し行うつなベジ会・山岸麗好代表の5人。さらに桑原悠町長も加わった。

この中で夫婦で初の青年農業士認定を受け、女性社長に就任している飯吉さんは、女性をフルタイム雇用することが現状では難しいと指摘し「女性を雇用したいとは思うが、シフトを組むとあてにしてしまうなか、子どもが急に熱を出したやおばあちゃんを病院に連れて行くなどのケースがあるなど、つい考えてしまう。女性農業者はいるが出産を機に引退する人は多い」と言及。併せて会社から離れた場所にある農地でのトイレや更衣室などの環境整備の難しさを指摘し、改善に向け県の協力を求めた。

一方、ユリ130万本全国出荷する町ユリ切花組合の大口組合長は「高齢化が進んでいるのが課題。今の人数で産地を維持していくのが使命だが、灯油代や電気代高騰、大雪だとハウス周りの除雪も必要。ユリ栽培は機械化が難しいのも原因」と現状を話し、さらに「球根はオランダから輸入するが状態の良い品種が入るのが難しくなっている。中国や台湾でも作っており、日本に来るより大きい市場に行ってしまう。オランダからもこの産地が注目されるようにならなければいけない」と、中山間地農業も世界を意識し対応する必要性が生まれているのを指摘した。

農業者から直接意見を受けた花角知事は「女性の就業など、各地で農業は共通の課題があると感じる。人が少なくなるなかで収益をどう挙げるかは、軽労化、デジタル化を図るのが課題となる。女性のトイレなど環境整備は支援制度を設けており、手続きを簡略化したい」と話し、県が掲げる園芸1億円産地増について「津南町は県内有数の畑地があり、県のモデルケースとなっている。雪はハンディであり資源でもある。ハンディをどう乗り越えるかは、施設園芸を進める必要があると思う。県はなんでも応援する。挑戦してほしい」とさらなる園芸振興に期待感を示した。

知事との車座トークは2018年に始まり、県内30市町村を巡る形で行い、津南町は折り返しの16ヵ所目。十日町市では2019年に開催している。

 

妻有新聞 2023年4月22日号】

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