新潟県長岡市栃尾の比礼地区、諏訪神社で祭礼 懐かしい昔語りや映像の上映も
新潟県長岡市にある比礼(ひれい)地区で23日、地域の鎮守である諏訪神社の祭礼が、地元の住人らによって執り行われた。当日は天候に恵まれ、20人ほどの住民が参加した。
比礼地区の始まりは嘉祥年間(848―850)と伝えられ、諏訪神社は、地区に住んだ最初の七戸が産土神として建立したものと伝わる。
当日は、午前9時から神社境内の清掃が行われ、冬の間に溜まった大量の杉の枯れ葉を、一輪車などで境内の外へ運んだりした。その後、集落センターから行列になって神社へ行進、神社祭殿にて神事を行った。栃尾大神宮の宮司による祝詞奏上の後、参加者による参拝が終わると、御神酒と赤飯が振舞われた。
神事の後は、集落センターへと戻り、地元栃尾の語り部会である「ろばた会」(佐藤昌子代表)による昔語りが披露された。「粗相七兵衛」など全部で4話が語られ、親しみやすいなかにも、展開が読めない一つひとつの話を、参加者は食い入るように聞いていた。
昔語りの披露の後は、ドキュメンタリー映画『雪国の夜語り』の上映である。映像は今から49年前、当時の民俗学研究者、水沢謙一氏によって監修されたものである。同地区の住人らが、NPO法人市民協働ネットワーク長岡(羽賀 友信代表理事)の福田洋介さんとともに映像の保管先を探していたところ、新潟県長岡市内の長岡市立中央図書館がDVDを所蔵していることが判明し、同図書館から借りた上での上映会となった。映像には当時の比礼地区や、そこに暮らす人々の様子が収められており、上映が始まると、時には笑い声も溢れながら、懐かしそうに映像を楽しむ住民らの姿があった。
催しに参加した一人、渡辺富子さん(79歳)は、「(映像には)自分の息子も出ていた。うちの隣にあった大きな家が映ってて、懐かしかった」と、嬉しそうな様子で感想を語った。「祭礼には、久しぶりに参加したが、天気も良くて良かった」と述べた。
今回、中心となって祭礼を取り仕切っていた同比礼区長の橘仁さん(71歳)は、「天気が良くてよかった。以前は、農協の人や駐在さんなども呼んでいた。みんながいっぱい参加した方が良かったが、コロナもあるから村内だけで行った」と満足そうに語った。例年に比べると、関係者のみでの規模を抑えた開催だったが、参加者たちの反応も良く、盛会であった。懐かしさと笑顔が溢れる素晴らしい祭事となった。