これはまさに「神技」 パッケージクラフトの第一人者が新潟県上越市に
これはまさに「神技」である。お菓子の空箱から次々とロボットや動物を作り出す。これは、パッケージクラフトと呼ばれる世界であり、新潟県上越市在住の高橋和真さん(49)はこの世界の日本の第一人者である。
高橋さんはパッケージクラフト作家として生計を立てており、「趣味を仕事にしている」と笑うが、努力と才能がなければできないことで恵まれた環境にいる人だ。また、一般社団法人日本パッケージクラフト協会の理事長でもある。
地元の進学校から山形県の新しくできたばかりの東北芸術工科大学へ進学。大学院芸術工学研究科を修了した。博士課程は新設大学でなかったため進まなかったが、あれば行きたかったという。
父は小学校の校長、母は看護学校教員という教員一家の裕福な家に育ち、学校も附属中学のエリート育ち。家に工作本があった。父の影響で、子供のころから図工が大好きで、得意だった。「就職はおもちゃ会社を探していましたが、会社員には向いていないと思い、一度もしていません」。
大学時代にパッケージデザインを勉強したことがきっかけで、大学在学中にパッケージクラフト作品の第1号を作成した。子供の頃からトランスフォーマーに代表される「変身ロボ」のアニメが好きだったこともあり、ロボットも多く作っている。団塊ジュニア世代の高橋さんが小学生のころに、空前の「ガンプラ(ガンダムのプラモデル)」ブームが起こっている。
「優秀なデザイナーが作ったお菓子の箱を無駄にしたくない」という思いから、パッケージで制作するようになった。明治や森永製菓などの国内大手菓子メーカーと取引できるようになったことが大きな転機となった。パッケージには著作権があるため、作品を販売することができないため、大手メーカーと組んで、お菓子の空箱を使った工作のマニュアルを作成し、それを提供することで対価を得ている。
今年のゴールデンウイークには、上越市のエルマールで「空き箱で海の生き物を作ろう!」というワークショップを開催する。このワークショップは、ブルボンの「アルフォート」の空き箱を使って、いか、かに、魚、ロボの中から選んで海の生き物を作ることができるというもの。制作時間は30~40分で、参加すると中身のお菓子はプレゼントされる。高橋さんは「このワークショップを通じて、子供たちにクラフト作品の楽しさを伝えたい」と話している。
高橋さんの夢は大きい。パッケージクラフト作品を海外にも広めたいという思いを持っている。「パッケージクラフト作品の楽しさを伝えるために、ベトナムやタイなどの海外でも活動しています」。
まさに現代の「工作職人」である高橋さん。1日中、新潟県妙高市のアトリエで、大手メーカーの発注品や個展のための作品を作っている。将来的には、上越市高田の雁木町家にアトリエを引っ越すことも検討中だという。雁木町家×パッケージクラフト。上越市から全国、世界へと発信する高橋さんだが、ますます面白い展開になっていきそうである。
(文・撮影 梅川康輝)