【決算発表】株式会社コメリ、増収も減益、エネルギー・原材料価格高騰も影響か
株式会社コメリ(新潟市南区)は4月25日、2023年3月期決算(連結)を発表した。
営業収益は3,794億100万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は260億5,300万円(前年同期比△6.4%減)、経常利益は258億1,200万円(前年同期比△8.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は170億9,600万円(前年同期比△4.5%減)となった。
コメリでは、営業概況は夏場の天候不順や、日用消耗品の買い控えなどの影響があったが、原材料価格が高騰する中、プロが頻繁に使用するネジ・釘、基礎資材、肥料、農薬等の消耗品を中心に売上が堅調だったことで、工具・金物・作業用品、リフォーム資材・エクステリア用品、園芸・農業用品といったコメリの核カテゴリーが売上を牽引した。
コメリグループの成長戦略の要である出店については、コメリパワーを10店舗、コメリPROを3店舗、コメリハード&グリーンを8店舗、計21店舗実施した。退店については、業態転換、ビルド&スクラップなどに伴い、ハード&グリーン、アテーナを21店舗実施した。
この結果、当連結会計年度末の店舗数は、パワー94店舗、ハード&グリーン1,103店舗、PRO12店舗、アテーナ5店舗、合計で1,214店舗となった。(この他非連結子会社が運営する海外ハード&グリーン2店舗)
重点施策である商品開発については、自走式草刈機「速刈り君」や、充電式ハンディチェーンソーは、使う立場から品質を決め直すことで実現した低価格と、TVCMも絡めた全店での重点販売の結果、客層も拡大し販売が好調に推移した。
これらの結果、EDLP施策と合わせ、顧客からも大きな支持を得ることができ、PB商品の売上高構成比率は、前年同期比1.4%増の46.7%まで高めることができたという。
農業協同組合(JA)との協業については、2020年3月1日からJA上伊那との協業を本格的に開始し、農家、JA、コメリの三方よしの実現に向けて取り組んでいる。2021年4月からは山形県のJA山形おきたま、和歌山県のJA紀の里とも協業を開始、2023年1月31日より新たに三重県のJA伊勢との協業を開始した。2023年3月末時点で4JAとの協業を行っており、JAの商品をコメリの25店舗にて販売している。
自社発行しているコメリカード(クレジット機能)、アクアカード(プリペイド機能)などのカード会員数は479万人を突破した。2022年11月よりコメリカード・アクアカードとコメリアプリを連携させたスマホ決済サービス「コッコPay」をリリースし、利用客の利便性向上に努めてきた。
商品部門別の状況については以下の通り。
工具・金物・作業用品
コロナ禍で需要の高まった感染対策パネルや塗料等、DIY向けの商品については、販売が苦戦したが、機械釘やコーキング、電材などのプロが使用する消耗品に関しては、販売が堅調に推移した。これにより売上高は、690億4,800万円(前年同期比101.1%)となった。
リフォーム資材・エクステリア用品
前期のウッドショックによる需要が一巡した木材に関しては、販売が苦戦したものの、ワイヤーメッシュ、セメント等の基礎資材は堅調に推移した。また、住環境改善ニーズは引き続き高く推移しており、住設機器は簡易取付・施工など、商品だけでなくサービスの売上も堅調に推移した。これにより売上高は、571億6,600万円(前年同期比103.1%)となった。
園芸・農業・ペット用品
ロシア・ウクライナ戦争の影響で価格が高騰した肥料や、PB商品の自走式草刈機、ヘッジバリカンなどの販売が堅調に推移した。ペット用品に関しては、犬・猫用のフード、衛生用品などが堅調に推移した。これにより売上高は、1,130億2,200万円(前年同期比105.4%)となった。
日用品・家電・カー・レジャー用品
コストプッシュインフレに起因する生活防衛意識の高まりにより、洗剤や紙製品などの買い控えの動きがみられ低調だった。家電用品は冷暖エアコンや、冬場の停電時でも暖がとれる石油ストーブは堅調に推移したが、戻り梅雨の影響もあり冷房用品は低調だった。これにより売上高は、710億2,800万円(前年同期比97.7%)となった。
インテリア・家庭・オフィス用品
季節性の高い商品の販売が苦戦したことやテレワーク需要の減少により低調に推移した。これにより売上高は、361億8,300万円(前年同期比95.6%)となった。
燃料ほか
灯油は、冬場の気温が比較的高く推移したこともあり、客数、販売数量が低調に推移した。これにより売上高は、143億4,500万円(前年同期比88.5%)となった。
次期の見通しと新規出店
次期連結会計年度については、ロシア・ウクライナ戦争が長期化している影響や、エネルギー及び原材料価格の高止まり、コストプッシュインフレの状況は継続するものと思われ、経営環境は引き続き厳しい状況が続くものと予想される。このような環境を踏まえ、次期の連結業績見通しについては、営業収益は3,860億円(前年同期比1.7%増)、営業利益は270億円(同3.6%増)、経常利益は271億円(同5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は173億円(同1.2%増)を見込んでいる。
新規出店に関しては、コメリパワーを7店舗、コメリPROを2店舗、コメリハード&グリーンを32店舗、計41店舗を計画しており、今後より一層の出店拡大に向けて取り組んでいくという。また、既存店改装につきましては、顧客のニーズの変化に対応し続けるため、約100,000坪を計画しているという。