【NIIKEIキシャメシGW特別編道の駅特集】5月4日「道の駅豊栄」でメシを喰って「道の駅とは何なのか」を考える

道の駅豊栄。シブめの道の駅だがGWともなるとかなり人出は多い

NIIKEIキシャメシ、例によって道の駅特集。今回は「道の駅発祥の地」(諸説あるらしい)である「道の駅豊栄」。

もともと1993年に正式スタートした道の駅制度は官民提携のプロジェクトで、自治体を中心とした地域と国土交通省(当時は建設省)が連携をとって「地域振興」と「一般道路の休憩所」の機能を併せ持った施設の整備が目的とされた。

1993年にスタートした道の駅制度、第一号の認定はここ豊栄

要するに「たまたま立ち寄った人にその地域を知ってもらう」という感じの打ちだし方だったわけだが、近年の道の駅はその枠にとどまらない。温泉施設があったり、本格イタリアンレストランがあったり、イルミネーションだ、映えスポットだととにかくエスカレートしている。通過点の休憩所だったのが、完全に目的地化している。「半日いても飽きない」とか「家族で楽しめる」とか、そんなふれ込みになっているのだ。

いや、別にこの風潮が悪いわけではない。ただ1993年に第一次登録された全国103箇所の道の駅たちの気持ちは「いやいや俺たち、そんなことになるなんて聞いてないぜ」というものではなかろうか。最初からそのつもりだったら観覧車だろうがシネコンだろうが後から作れるように拡張性を持たせただろう。「休憩所とちょっとした土産コーナーでいいって言ってたじゃん・・・」という。かくして古い道の駅は、アミューズメント性の薄い「硬派」なタイプが多いのではないかと、勝手に思っている。そして記者はむしろ、そんな昔気質の道の駅にこそシンパシーを抱く。

品揃えの幅が広いお土産売り場。5月4日ということを考えれば、2024年の春物を先取りしているのだろう

その点、道の駅・豊栄は登録第一号、さすがにシブい。道の駅を紹介する専門サイトを見ても、他のところは足湯だBBQスペースだとアミューズメントを前に出してくるが、豊栄はなぜか「ダチョウの卵」の写真が一枚だけ。これは施設の裏に「ダチョウ牧場」があるからなのだが、こういう控え目なところが可愛い。

裏にダチョウファームがあることは、意外に知られていないのではないか

いわゆる「道の駅グルメ」もスーパーのイートインほどの規模の「軽食堂」があるだけ。おばちゃん3人が忙しそうに手を動かしている「寮食堂」の風情が漂う。メニューも立ち食いソバ+カレー、かつ丼、中華丼など昔ながらの定番が並ぶ。

言っても、さすがにこれだけ道の駅グルメがフィーチャーされればメニューも充実させてくるだろう。案の定、券売機を見るとボタンがぎっしり埋まっているじゃないか、どれどれ・・・・それなりに凝ったメニューは高確率で「売り切れ」だった(11時半に行ったのに)。今日は5月4日、一年のうちで今日頑張らないでいつ頑張るのか。

売り入れ率の高い豊富なメニュー。まだ午前中なのに

せっかくだから「販売中」の中でもひときわ推している感じの「辛味ちゃんぽん」(税込750円)をチョイス。食券を渡して、できたらおばちゃんから肉声で呼ばれる。バイブレーション機能の呼び出し機とかを持たされることはない。
食券を出して5分ほどでおばちゃんの「28番の辛味ちゃんぽんの方~」という声。さあ喰うか。

「辛味ちゃんぽん」(750円税込)。こういうので良いんだよ・・・

確かに色合いは「辛味」っぽくある。ニラ、おそらくキムチ、そして豚肉(チャーシューではない)が入っている。レンゲでスープを口に運ぶ、うん、熱くない。これがやさしさだ。辛味も、うーん、記者の感覚ではピリ辛未満、やさしい。「やわらかキムチ鍋」といった感じで、ちゃんぽん感があまりない。と言っても記者は本物のちゃんぽんの定義を知らないのだから何とも言えない。奥にダシ的な旨みは感じる、ただ醤油なのか塩なのか味噌なのか判別がつきにくい。麺はこれ、時間がたっても伸びにくいタイプのやつだな。ぐずった感じがないのが良い。

いやいや、うまかったよ「辛味ちゃんぽん」。もうね、いわゆる「こういうので良いんだよ」感がすっごい。あんまりレベルが高いのを道の駅で出されても、なんか違う気がする。期待してなかったから美味かった、が「道の駅グルメ」の最適解なのではないか。

道の駅グルメは、とどのつまりはソフトクリームである

帰り際に、ソフトクリームを食べる。ここのソフトクリームが新潟県で一番美味しいと思っていた時期があった。これは本当。ミルクフィールが濃厚なのだ。道の駅の食はソフトクリームでシメる。間違いない。

(編集部 I)

 

道の駅豊栄(売店・食堂)

営業時間 7時~19時(冬季は7時~17時) 無休

 

【前回のキシャメシ】
5月3日 「道の駅 たがみ」はタケノコ天国

 

【関連記事】
【道の駅特集】全国に誇る道の駅の歴史、道の駅発祥の地「道の駅 豊栄」(新潟市北区)【動画あり】(2023年11月30日)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓