歴代牧野家トノ 尊顔が復元される 6日から長岡まちなかキャンパスで展示(新潟県長岡市)

歴代牧野家当主の顔がずらりと並ぶ

長岡藩主として250年あまりにわたり現在の新潟県長岡一帯を統治した大名家「牧野家」の、歴代藩主と正室11人の顔を最新技術で復元した模型(復顔模型)が、5月6日~7日の2日間、新潟県長岡市のまちなかキャンパス4Fで展示される。

面長の顔にスッとした鼻筋や目元。いわゆる“殿様顔”といわれる特徴の顔立ちは、歴代長岡藩主の頭蓋骨から直接復元した他、損傷の激しいものに関してはCT撮影や3Dプリンターなどを用いるなど、最新技術で復元した。

この復顔プロジェクトを指揮したのは、新潟医療福祉大学・自然人類学研究所の奈良貴史所長(62歳)である。自然人類学とは、人骨などの人間の生物学的特徴から、進化や環境などの適応、機能や構造など、生物の一種としてのヒトについて知ろうとする科学の一分野のことで、奈良所長は、これまでも、ネアンデルタール人に関する研究や、村上市の上野(かみの)遺跡で発掘された縄文時代人の焼けた骨の調査に従事するなど、古人骨を切り口に、人類史の詳細を明らかにしてきた。

今回のプロジェクトは、2016年から進めてきたもので、1983年に、それまで東京都港区の済海寺にあった牧野家代々の遺骨を、新潟県長岡市の栄凉寺に改装された際に行われた発掘調査で、第17代当主・牧野忠昌(81歳)さんの判断により、将来の研究のために再利用できるために配慮され安置されたものを、最初の発掘調査から30年以上を経た最新技術を駆使して復顔を試みたものである。

2012年に東京都上野にある国立科学博物館で行われた『江戸人展』で、5代忠周(ただちか)の復顔をきっかけに、4代忠壽(ただかず)から11代忠恭(ただゆき)までの歴代藩主と8代正室・長姫(ながひめ)と10代正室・逸姫(いつひめ)の計11体の復顔が実現したことになる。欠損の激しい人骨を除いて、「今の技術で復顔できるものは全て復顔した。自画自賛ではあるが、うまく行ったかな」と自信に満ちた表情で、奈良所長は語る。

一堂に並べてみると、例えば兄弟であった7代忠敬(ただたか)と7代忠利(ただとし)や同じく兄弟であった9代忠鎮(ただつね)と10代忠雅(ただまさ)の顔の造りや雰囲気が似ているなど、改めて共通する顔の特徴がわかってくる。また、実際に写真が残っている11代忠恭に至っては、写真に肖像が残されており、今回の復顔では、顔の特徴がほぼ一致するなど、復顔技術の正確さを改めて裏付ける結果となった。奈良所長によれば、「江戸時代、代々の大名の復顔が揃うということは、他に例がないのではないか。日本で初めてではないか」とプロジェクトの独自性と重要性を強調した。

自信に満ちた表情で説明をする奈良貴史所長

先祖の復元された顔を一つひとつ眺め、「親しみの気持ちが強い」と語る牧野忠昌さん

研究を許可した牧野さんは、「ご先祖様のお顔が現在の技術でこのように蘇ったことに非常に驚きを感じるし、親しみの気持ちが強い」と語った。

復顔された11体は、今後、東京国立科学博物館や長岡科学博物館など、いくつかの施設に分散された形で収納され、今後このような形で一堂に集まることができるとは限らない。今回は、新潟県長岡市の興国寺にある遺骨を元に復顔した長岡藩ゆかりの偉人・小林虎三郎のものもあり、「長岡ゆかりの人物の複顔が揃うのは初めてのことでないか」と、奈良所長は語った。

今回の展示は、来年3月に公開される研究成果の先駆けとなる一般公開である。損傷が激しく、今回復顔されることが叶わなかった6代正室・直姫、11代正室・籌姫(ひさひめ)の今後の復顔が期待される。

面長の顔にスッとした鼻筋や目元は、江戸時代の支配者層に共通する特徴だという

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓