新潟県内企業の約98%が調達コスト増加、4割超が価格転嫁できず 東京商工リサーチ調査
株式会社東京商工リサーチ新潟支店によると、新潟県内の98.3%の企業が原油・原材料価格高騰による調達コストの影響を受けており、その4割以上が価格転嫁できていないという。
東京商工リサーチが2023年4月3日〜11日にかけて、企業のコスト上昇や価格転嫁に関するアンケート調査を実施した。有効回答は、全国で4,424社、新潟県で122社。
それによると、「原油・原材料価格の高騰によって、調達コスト増加の影響を受けていますか?(択一回答)」という質問への回答では、「影響を受けている」は全国で87.7%(3,884社)、新潟県で98.3%(120社)となり、全国との比較で10ポイント以上高い結果となった。なお、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」は全国6.5%(288社)、新潟県1.6%(2社)で、新潟県において、「影響はない」はゼロだった。
「影響を受けている」会社のうち、「原油・原材料の高騰に伴うコスト増のうち、何割を価格転嫁できていますか?」という質問へ対しては、「転嫁できていない」は全国で42.2%(3,198社中、1,352社)、新潟県で41.8%(98社中、41社)と、双方とも4割超に達した。一方で、「10割」(全額転嫁)は全国5.4%(174社)、新潟県3.0%(3社)にとどまった。
「転嫁できていない」と回答した企業を産業別で分析すると、母数がいずれも少ないながら、「金融・保険業」「不動産業」「運輸業」「情報通信業」が100.0%、次いで「サービス業他」の75.0%、「小売業」の60.0%、「建設業」の43.7%、「卸売業」の33.3%、「製造業」の31.9%の順となった。
「転嫁できていない」以外の回答をした企業のうち、転嫁したことによる業績への影響についての質問に対して、新潟県で最も多かった回答は、「受注量・粗利益率ともに低下」で23.5%(51社中、12社)、次いで「受注量は変化なく粗利率は低下」が17.6%(9社)だった。価格転嫁は出来たものの「粗利率が低下」し業績への影響を示した企業は計52.9%(27社)で、価格転嫁したことで「粗利率が上昇」した企業は23.5%(12社)にとどまった。
直近1か月の電気料金について、前月(2023年1月を100とする)と比べて料金が上がった(101%以上)と回答した企業は、全国で67.3%、新潟県で69.5%に上った。
東京商工リサーチ新潟支店は今回の調査結果に対し、「可処分所得が伸びず、消費者は製品・商品やサービスの値上げに苦慮している。その一方で、企業も価格転嫁しても収益悪化が続く構図で、昨今のコスト上昇は消耗戦の様相を呈している」とし、「物価高倒産は沈静化の兆しがみえない。また、賃上げなどへの対応のほか、今後は金利引き上げも想定される状況にあり、資金繰りへの影響などを見極めていく必要がある」と指摘している。