【インタビュー】浦和へ自社初のFC店を開業した寿司の弁慶(新潟県佐渡市)、「顧客が求めるものは、その店にしか無いもの」(小崎和彦社長)

弁慶の小崎和彦代表取締役社長

「既存店の焼き直しではなく、常に新しい手法を作りながら展開している」。そう話すのは、新潟県や首都圏で寿司店を展開する株式会社弁慶(新潟県佐渡市)の小崎和彦代表取締役社長

同社はこの3月にベトナムのヴンタウ市に初の海外店舗を、さらに4月には、さいたま市浦和区に同じく初となるFC業態の「佐渡廻転寿司 弁慶 浦和パルコ店」を営業開始した。新展開で勢いをつける人気店の社長へ、浦和店の話題を中心に話を聞いた。

 

目次

○初のFC、その裏側
○店ごとに個性を出す

 

初のFC、その裏側

佐渡廻転寿司 弁慶 浦和パルコ店 イメージ(弁慶提供)

──初のFC出店までの経緯を教えてください。

一番のきっかけは新型コロナウイルス感染症の拡大だった。

今回、FC出店するパートナーは、酒屋の株式会社千屋(新潟市中央区)。同社は東京都内でも居酒屋を2軒経営しており、弊社も「寿司バル弁慶 神田店」があるので元々親しくしていた。しかし、感染症拡大の影響から2年ほど前に千屋は都内の居酒屋を2軒とも閉業。その際に、千屋から弁慶のFC経営について話を持ちかけられ、計画が始まった。

弊社としてもFCの業態は初めてで、まだ手探りでやっている。だから、元々信頼関係が構築できていた相手だという点も大きい。

──今回、なぜ出店場所に浦和を?

感染症禍の時代を経て、居酒屋業態や都心部での出店は難しくなっている。現代の会社員はテレワークや出勤日の減少により、会社帰りに飲む、というスタイルが変わりつつある。一方で、感染症禍にあってもファミリー向けの焼肉店などは健闘し、生き残っている。弊社においても、(中心部からやや離れた)「ピア万代店」(新潟県中央区)は比較的影響が少なかった。

こうした状況から、今後は「郊外」で「家族」で食べる業態が強くなると考えており、都心からは離れた浦和に出店を決めた。

──浦和店の特徴は。

カウンター席の寿司屋と回転寿司の融合を目指している。新潟県内の既存店で言うのであれば、「イオン新潟青山店」と「万代シティ店」のあいだのような形。

回転レーンは家族向けのBOX席へ通すが、寿司を次々と流すのではなく、タッチパネルで注文を受けた皿を届けるだけの使い方になる。これは、近年の回転寿司業界で主流になっている手法。最近話題になった、顧客のSNS上の問題行動などの問題も考慮している。

 

店ごとに個性を出す

佐渡 廻転寿司 弁慶 ピア万代店

──既存店を見ても、それぞれ特徴が違う印象があります。

佐渡から新潟に出て来た時に開店した「ピア万代店」は回転寿司、その後、西区につくった「イオン新潟青山店」は高級志向のカウンタースタイル、そのほかにも居酒屋業態やカニ専門店など、店ごとに様式を変えている。

もちろん、適材適所で出店場所の街に合わせて店づくりをしているという面もあるが、顧客から見て「全国どこでも同じ」店への興味が薄れつつあるということも重要。

例えば、料理の写真を撮ってInstagramなどのSNSに掲載するにしても、全国どこでも同じチェーン店では面白くない。顧客が求めるものは「あの場所の、ここへ行ったよ」というオリジナリティで、店の魅力は「そこにしか無いもの」に変わりつつあると考えている。

──実験的につくった店が、成功に繋がった例もあると聞きました。

「ピア万代店」と、その横に建てた「別館 立ち食い弁慶」がそうだった。元々「ピア万代店」は食事時になると混雑し、かなりの行列ができてしまっていたため、それを解消するために立ち食いの店舗をつくった。

開店当初は、立ち食い寿司に馴染みが無かったのか、椅子が無いことに怒って帰ってしまう来店者が多かった。しかし、店が空いていたためスペースに県内のワンカップ酒を揃えてみたら、それが当たった。立ってワンカップを片手に寿司を食べるというスタイルが人気になり、回転寿司のほうの常連さんが立ち食いへ通うようなことにもなった。

その様子を見た東京からの常連さんからの提案を受け、「立ち食い弁慶」を元に都内に合わせた「寿司バル 弁慶 神田店」をオープンしたら、これがまた人気を得ている。

ピア万代店に併設された「別館 立ち食い 弁慶」

──顧客の声もかなり取り入れられているのですね。

「カニカニランド」も、元々は「カニを食べたいけど、県内にあるか」と利用者から問われたことが始まり。考えてみれば、一見さんが行ってすぐに食べられる専門店は新潟市内になかなか無い。

最初につくった「ピア万代店」のような店を単に増やすのではなく、土地ごとの特性や当時の世相、様々な顧客の言葉を取り入れている。意識的にやっていたわけではなく、店を展開するうちに自然とそうなっていった。

──最後に、浦和店も含めた今後の展開について教えてください。

(浦和店の)パートナーの千屋も弁慶の既存店のことをよく知っている。万代シティを見学した際にも「ここへさらにカウンターがあったら良い」と提案があり、浦和店に反映した。店の内装も、展開の仕方も、やはり既存店とは別の形になっていく。

今後のFC展開について、具体的な計画はまだ無い。しかし、千屋も前向きに考えている。

ベトナム・ヴンタウへの出店も3年前はまったく考えていなかった。その時の縁や状況を見ながら、これから模索していきたい。

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人口減の時代において、飲食チェーンを問わず、大量展開を行う業態は転換を迫られつつある。また、飽食の時代だけあり、食の分野にも「モノ」から「コト」への転換が進みつつある。今後、業界は格安の店舗と個性を打ち出した店舗に二極化していくだろうか。

また「それぞれ違う店」とは言うものの、面白い点は「弁慶」の看板がしっかりと「美味い寿司屋」としての信頼を得ていることだ。むしろこの基盤、あるいは軸が確立されているからこそ、売り方の面で挑戦ができるのだろう。チェーンとしての強みと、ブランドを両立した例と言える。

佐渡・新潟の寿司というプライドとストーリーを背負う弁慶。思わぬ展開を見せる彼らに今後も期待したい。

弁慶 新潟本社オフィス

 

【関連リンク】
弁慶 webサイト

 

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【独自】寿司の弁慶(新潟県佐渡市)が初の海外店、ベトナムでの様子と狙いを小崎和彦社長に聞く(2023年5月15日)

 

本記事は、株式会社弁慶の提供による記事広告です。

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