【決算発表】デンカが増収減益、コスト増など影響

デンカ株式会社の青海工場(新潟県糸魚川市)

デンカ株式会社(東京都)は5月11日、2023年3月期決算(連結)を発表した。売上高は4,075億5,900万円(対前年同期比5.9%増)、営業利益は323億2,400万円(同19.4%減)、経常利益は280億2,500万円(同23.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は127億6,800万円(同50.9%減)と増収減益になった。

今期間のデンカの業績は、世界経済減速の影響を受け、主力製品の一部で需要が減したが、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行ったほか、円安による手取り増があり、売上高は4,075億5,900万円と前年同期に比べ227億900万円(5.9%増)の増収となった。

利益面では、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行ったが、主力製品の一部で販売数量が減少したほか、スペシャリティー化進展のためのコスト増があり、営業利益は323億2,400万円(前年同期比77億9,900万円減、19.4%減益)となり、売上高営業利益率は7.9%(2.5ポイント減)となった。

 

電子・先端プロダクツ部門

高純度導電性カーボンブラックは需要が前年並みに推移したほか販売価格の改定により増収となり、窒化ケイ素もxEV向けの需要が堅調に推移し、増収となった。一方、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは、パソコン、スマートフォンなどの民生向け需要の減少により販売数量が減少した。

この結果、電子・先端プロダクツ部門の売上高は935億4,100万円で、前年同期比33億8,800万円の増収(3.8%増)となり、営業利益は179億7,500万円と前年同期に比べ、6億8,000万円の減益(3.6%減)となった。

 

ライフイノベーション部門

インフルエンザワクチンの出荷は生産能力を増強したことから前年を上回った。一方、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットおよびインフルエンザウイルスとの同時診断キットは、感染の拡大により病院での検査需要が拡大し出荷量が増加したが、保険点数引き下げにより価格が大幅に下落し減収となった。

この結果、ライフイノベーション部門の売上高は475億2,500万円と前年同期比14億27百万円の増収(3.1%増)となったが、営業利益は143億7,800万円と前年同期に比べ11億1,700万円の減益(7.2%減)となった。

 

エラストマー・インフラソリューション部門

エラストマー・インフラソリューション部門は、ウクライナ危機に端を発した原燃料価格上昇の影響を大きく受けた。クロロプレンゴムは販売数量が前年を下回ったが、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行い増収となった。このほか、肥料の販売は前年を上回り、特殊混和材の販売は概ね前年並みとなった。一方、セメントは急激な原燃料価格の上昇に対して価格転嫁が遅れたため減収となった。

この結果、エラストマー・インフラソリューション部門の売上高は1,238億2,700万円と前年同期比169億4,800万円の増収(15.9%増)となり、11億円の営業損失(前年同期は営業損失34億7,300万円)となった。

 

ポリマーソリューション部門

ポリマーソリューション部門は、各製品で原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めた。数量面では、ABS樹脂や透明樹脂は自動車減産や中国経済減速に伴う民生需要低迷の影響を受け減少し、デンカシンガポール社のMS樹脂はテレビやモニター向けの需要が減少した。

この結果、ポリマーソリューション部門の売上高は1,275億6,900万円は前年同期比9億9,100万円の増収(0.8%増)となり、12億2,800万円の営業損失(前年同期は営業利益79億500万円)となった。

 

その他部門

YKアクロス株式会社などの商社は取扱高が概ね前年並みとなった。

この結果、その他部門の売上高は150億9,400万円と前年同期比4,600万円の減収(0.3%減)となり、営業利益は25億1,200万円と前年同期に比べ6億700万円の増益(31.9%増)となった。

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