【決算発表】ヨネックスが過去最高売上、最高益を計上、スポーツ需要活性化で海外子会社の業績拡大

ヨネックス株式会社新潟工場

ヨネックス株式会社(東京都)は5月11日、2023年3月期の決算(連結)を公表した。

売上高は1,070億1,900万円(対前年同期比43.7%増)、営業利益が100億6,300万円(同49.3%増)、経常利益が99億6,100万円(同37.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は73億3,100万円となった。

インフレや景気減速傾向、地政学リスクなどの懸念要素がありながらも世界各地でスポーツ需要が活性化し、売上高、利益ともに過去最高値を計上。海外子会社において現地通貨ベースで増収増益となったことに加え、大幅な円安により海外業績の換算による上押し効果も見られた。
同グループが注力してきた、消費者のプレー機会創出を目的とする小規模な大会やイベントの開催が需要を活性化していること、世界規模の大会も有観客で開催されていることで、世界各地で競技の盛り上がりが見られた。それとともに各競技の主要大会で当社契約選手がめざましい活躍を見せていることで、自社製品への注目も継続的に高まり、過去最高額を売り上げた。

また原材料価格の上昇や円安に伴う仕入コスト増加の売上総利益への影響はあるものの、増収による売上総利益の増加が大きく、マーケティング活動への注力による広告宣伝費をはじめとした販管費の増加を加味しても大幅な増益となった。

各セグメントの業績は、次のとおり。

 

スポーツ用品事業

日本
国内は、バドミントン、ソフトテニス等の部活動需要の回復で市場が活性化したこと、また各種目の新製品が消費者の支持を得たことでラケット、シューズ、ウェア等の販売が伸長。テニスについてもラケットを中心に継続的に販売が増加している。海外代理店向けの売上については、スポーツ活動が本格的に再開したことによる需要の活性化に加え、世界各地でバドミントンの国際大会が再開されたことによる競技の盛り上がり、当社契約選手の活躍による注目の高まりにより大幅な増収となった。

利益面については、原材料価格の上昇、円安による輸入品の仕入コスト増により売上総利益率が低下したことに加え、広告宣伝費、人件費等の販管費が増加し減益となった。

この結果、売上高は477億5,000万円(前期比27.3%増)、営業利益は14億7,800万円(前期比1.1%減)。

アジア
中国販売子会社では、前期から継続するスポーツ需要の高まりとバドミントン競技の盛り上がりに加え、前期に続き地域を拡大して実施している体験型イベント、各種大会の開催によりバドミントン、テニス、スノーボードの競技のすそ野拡大がみられたことで販売が伸長。4~5月(第2四半期)、12月(第4四半期)の新型コロナ感染拡大による影響はあったものの、いずれも限定的に留まり、累計では、円安により円換算の業績が押し上げられた影響もあり大幅増収となった。

台湾子会社では、全国大会や地方大会の開催によるバドミントン市場の活性化や、3年ぶりに開催された国際大会での地元選手の活躍による盛り上がりも寄与し、増収となった。

利益については、特に中国販売子会社におけるマーケティング投資により、広告宣伝費等の販管費は増加したものの、増収による売上総利益の増加により、大幅な増益となった。

この結果、売上高は496億6,200万円(前期比60.4%増)、営業利益は88億2,100万円(前期比77.2%増)となった。

北米
北米販売子会社では、バドミントンで競技施設やクラブ活動が本格的に再開したことで、バドミントンラケット、シューズ、シャトルコック等の販売が大幅に増加。テニス用品については、業界全体で見られたサプライチェーンの混乱が解消したことにより市場全体で在庫が増加し、当社の売上増加率も前期に比べ落ち着いたものの、引き続き当社ラケットの性能評価や選手の活躍等で販売は好調に推移。円安による換算も影響し、全体で増収となった。

利益については、増収による売上総利益の増加が、広告宣伝費、人件費等の販管費の増加を上回り増益となった。

この結果、売上高は52億5,700万円(前期比64.6%増)、営業利益は4億2,300万円(前期比54.3%増)となった。

欧州
ドイツ、イギリス販売子会社において、バドミントン競技施設の本格的な再開や国際大会の開催に加えて、マーケティング施策の奏功もあって市場が活性化し、ラケット、シューズ、シャトルコック等の販売が増大した。テニスについても堅調な需要でラケットを中心に販売が伸長し、合わせて大幅増収となった。

利益については、増収により売上総利益が大幅に増加し、国際大会の開催等による広告宣伝費や人件費の増加による販管費の増加を上回り、増益となった。

この結果、売上高は38億1,500万円(前期比63.3%増)、営業利益は1億7,100万円(前期比128.8%増)となった。

 

スポーツ施設事業

スポーツ施設事業の中核をなすヨネックスカントリークラブでは、6月に女子プロゴルフ「リシャール・ミルヨネックスレディス ゴルフトーナメント」が3年ぶりに有観客で開催されたことや、当社契約プロのJLPGAツアー2週連続優勝の話題を活かした企画を実施する等、各種大会やイベントにより集客と話題作りに努めたことで入場者数が増加し増収増益となった。

この結果、スポーツ施設事業の売上高は533百万円(前期比13.7%増)、営業利益は58百万円(前期比53.1%増)となった。

 

今後の見通し

ヨネックスではスポーツや健康の価値が改めて見直される中で、今後もスポーツを楽しむ人々は世界中で増えていくと観測。一方で、インフレや景気減速懸念、地政学リスク等、先行き不透明な経営環境が継続するとの見込みのもと、2023年3月期の業績水準をベースとして緩やかに成長を維持しながら、今後中長期の成長を可能にするための基盤づくりに取り組む方針を打ち出している。

2024年3月期の連結業績予想は、売上高 1,160億円(対前年同期比8.4%増)、営業利益 107億円(同6.3%増)、経常利益 107億円 (同7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 78億円 (同6.4%増)としている。

 

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