コジマタケヒロのアルビ日記2023 Vol.9 三戸舜介 「どんな形でも」

アルビレックス新潟の三戸舜介選手

5月10日、サインを書いたり、一緒に写真を撮ったり、いわゆるファンサービスが解禁となったこの日、新潟のサッカーを牽引する選手の一人、三戸舜介選手に話を聞いた。

「ロングボールを入れてりシーンもありましたし、長短のパスを使い分ける形ができていました。そういう点では新しいアルビのサッカーができた試合だと思います。試合を重ねるうちに新潟のサッカーの研究がされている感も感じますから、相手の不意をついたプレーというもの必要になってくると思います」。

惜しくもスコアレスドローとなった第12節の柏戦は、個人的に新潟の進化を感じた試合だった。これまでの新潟が長い浮き玉を使うのは、サイドを変える際に使う程度で、攻撃の中心はグラウンダーのパスという印象だった。しかし、7日の柏戦は違った。相手守備陣の裏のスペースへのロングスルーパスを数本通し、惜しい場面をつくっていた。

松橋力蔵監督にこの試合のことを聞くとこんな答えが返ってきた。

「(4月23日の)アントラーズ戦の後のミーティングで、僕が監督になったときに何を選手達に伝えたのか、という振り返りをしました。当時伝えたことはいくつかありましたが、相手の裏をとるというのは、その中にあったポイントの一つでした。あらためて、伝えたことでトレーニングの内容もガラッと変わりましたし、より質の高いものができるようになってきたと思います。選手が状況に応じて、自分たちの判断で、間違いのないチョイスができているのが今なのかなと感じています。サッカーには、流れというか空気というか、そういったものが存在します。この類のいわゆる運というものは自分たちでつかまないといけないもの。つかめるかつかめないかは本当に自分たちの日々の中にあると思っています」。

「ゴールデンウイークの連戦が始まったくらいのタイミングで行われたミーティング時に、監督がみんなに『最近、ロッカールームが汚い』と言いました。『普段の生活からしっかりと見直せば、変わることがあるんじゃないか』って。自分は監督に言われる前に綺麗にしていたのであらためて掃除をすることはありませんでしたが、ミーティング後に何人かの選手が掃除をしていました。そうしたら、次の試合でチャンスになるようなボールが転がってきたりしました。そういうところにも気を配ることで、運が自分たちに転がってくることもあるのかなとは思います。ここ数試合自分の決定機みたいのが多くあります。シュートの感覚としては、徐々に去年の感覚に近いものになってきています。とにかくどんな形でもいいから一点がほしいです」(三戸選手談)。

14日、新潟はホームに昨年のチャンピオンチーム・横浜F・マリノスを迎える。12節を終えて、7勝2敗3分で2位に位置する実力あるチーム。能力の高い外国籍選手を筆頭にチャンスと見れば、多くの人数をかけて、厚みのある攻撃を展開し、ここまで25得点を挙げている。しかし、攻撃に人数を割くということは、裏を返せば、守備陣の後ろには広大なスペースが空いている場面が生まれやすくなることにもつながる。

「自分にロングボールで一発入ってくるという場面もあると思うので、そういったチャンスも狙っていきたいと思います」(三戸選手談)。

水戸選手自身はもちろん、チームにとっても、今ほしいのは、勢いをつけるゴール。
まずは一点。

あぁ、試合が楽しみだ。

 

◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート。

 

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