骨を解き明かす まちなかキャンパス長岡でサイエンスカフェ(新潟県長岡市)

遺跡から出土した実際の人骨を興味深そうに眺める参加者

遺跡から発掘される人骨。骨の特徴から、性別や大まかな年齢、埋まったときの状態なども推測することができる人骨鑑定。もともとは考古学の世界で広く活用されてきた人類学の知識である。近年では、事件性の強い人骨の解明を、考古学の方法と人類学的な知識を持って解明する「法医考古学」の分野での需要も高くなっているらしい。まさにアメリカのテレビドラマ「Bones」の世界だ。

そんな人骨鑑定の世界を気軽に学ぶことができる催しが12日、新潟県長岡市にあるまちなかキャンパス長岡で行われた。講師は新潟医療福祉大学・自然人類学研究所の奈良貴史所長(62歳)である。

奈良所長は、実際の発掘現場から出土された人骨などを用いながら、出土した骨の小破片に残された骨の組織から、ヒトの骨か動物の骨かを見極める方法や、骨盤の形状から男女の性別を判断する方法、頭蓋骨の縫合状況からおおよその年齢層を推定する方法など実際の発出土した人骨からどのように情報を得るのかなどを具体的に紹介した。

長岡市内から参加した船山遥花さん(14歳)は、元々考古学や生物学に興味関心があったところ、母の章子さん(44歳)が今回の催しを知り、誘われる形で妹の凛帆(りほ)さん(9歳)と共に参加したという。「学校では、こういう話で気が合う人がいない。(一緒に話せる)人がいない分、自分の中で知識を貯めたいなと思っていた」という。

実際の骨を手に取りながら解説する奈良所長

家族で参加した船山章子さん(中央)、遥花さん(右)、凛帆さん(左)

また、同じく長岡市内から参加した杉本周栄さん(63歳)は、「学問的にしっかりした所から推定年齢、動物などの違いなどがわかるというのがわかった。とても有益で楽しかった」と語った。

当日は20人の定員のところ、30人もの参加者が集まり、大盛況だった。斯学に対する人々の関心の高さが伺われる。「皆さん熱心に聞いていただいた」と奈良所長も嬉々として語った。

「有益だった」と語る杉本周栄さん

 

(文・撮影 湯本泰隆)

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