【詳報】岩塚製菓(新潟県長岡市)の新社長に現専務の槇大介氏、槇春夫現社長は会長就任で海外事業に注力
米菓大手の岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)の槇春夫代表取締役社長が5月19日、新潟市中央区の新潟商工会議所で会見を開き、6月29日付の人事で、槇大介専務取締役経営管理本部長が新たに代表取締役社長COOに就任し、自身は代表取締役会長CEOに就くことを明らかにした。
新社長の大介氏は1979年生まれの43歳。槇春夫社長の長男にあたる。2006年に岩塚製菓に入社し、2021年に専務取締役に就任している。
なおこの人事に伴い、定款を一部変更して新たに「最高経営責任者(CEO)」「最高執行責任者(COO)」及び「最高財務責任者(CFO)」を選定できる旨を追加した。
槇春夫社長は会見で「中期経営計画の中で『新しい岩塚価値の創造』をテーマに掲げる中で、新しいやり方、見方を若い感覚で実行していくことに期待したい。目まぐるしく変化を続ける国内の流通業界中で、消費者の声に常に耳をかたむけ、それを経営に活かしていくのは若さがあってできること」と話した。
米菓業界は昨今、原材料価格の高騰が利益を圧迫する苦境が続いており、原料をすべて国産米にこだわる同社はまさに直面している状況だが「これを克服し、営業利益の改善に持っていける道筋が見えてきたこともあって今回の社長交代にこぎつけた」(同)という。
新社長(COO)が国内の従来の業務と岩塚製菓全般を取り仕切り、新たに会長となる槇春夫社長は、長年にわたり資本提携を続ける台湾企業「旺旺集団(ワンワングループ)」と共同で建設したベトナム工場をはじめとする海外事業をけん引していくことになる。今後はベトナムを拠点にアジア各国への営業展開も見据えられるだけに、今回の社長交代で一段落というより違うステージへの新たな挑戦となりそうだ。
「(社長職を25年続けて)米菓という存在の、世界市場的価値に改めて気づかされた思い。これは日本にしかない。世界市場に売り込んでいくべき商品のひとつではないか、とさえ今では思っている。それほど可能性に満ちている」と米菓の持つ大きな可能性に触れるあたりは、2016年から4年間にわたり全国米菓工業組合理事長を務め業界全体を慮ってきた氏ならではの感想だ。