コジマタケヒロのアルビ日記2023 Vol.10 小見洋太 「熱のバランス」

アルビレックス新潟の小見洋太選手

今、新潟の攻撃に勢いをもたらしているのは、本コラムのVol.9で書いた三戸舜介選手のほかにもう一人。それが小見洋太選手。彼もまた大きな力になっている選手の一人だと思う。

三戸選手と同じ2021年の入団で、今季が3年目となる20歳。プロ入りして、センターフォワードからコンバートされ、現在は左サイドを主戦場にしている。前線からの献身的な守備に、タイミングを見計らった裏への抜け出しからのチャンスの演出と、試合への貢献度が非常に高い選手だ。

前年度の王者・横浜FMと戦うこととなった前節のホーム戦。

前半アディショナルタイムに先制されるも、後半、見事に追いつき、三戸選手のミドルシュートで2-1と逆転勝ちをおさめたこの試合でも小見選手は光っていた。

前半30分、最後尾の舞行龍ジェームズ選手からトップ下の伊藤涼太郎選手にパスが入る。ボールはまだ自陣の半分くらいの位置にあり、相手守備陣は新潟陣内に残っている状態。相手ディフェンダーの前にするするっと入ってきたのが、小見選手。それを一瞬で察知した伊藤選手が小見選手にセンターラインをこえるスルーパス。先頭を走っていた相手ディフェンダーを入れ替わり、ボールに追いついた小見選手は、ゴールキーパーと一対一に。決定機だった。

試合後初となる公開練習後、小見選手に話を聞いた。

「ああいった動き出しが僕の長所なのに、決め切らないといけない。あの瞬間は選択肢がなくて、そのまま流れで打ってしまったという感じでした」。

ゴール角を狙ったシュートは、相手ゴールキーパーの手に当たり、惜しくも得点とはならなかった。

「チャンスをつくれないとゴールも生まれない。チャンスをつくれているということをポジティブに捉えて、あとは決まるまで打ち続けるしかないと思っています」。

そう答えてくれた小見選手に「嫌な質問でごめんなさい」という言葉をつけた上で聞いてみた。

「今、小見選手に足りないものはなんだと思いますか?」

「余裕です。思いっきり行くところが僕の良さ。その一方で必要なのが、考えるとか、落ち着くというような感覚。この双方のバランスが大切だと思うのですが、今の僕には一方の比重が高くなってしまっている。ゴールを外してしまった場面のようなシーンでも楽しむ気持ちが出てくるとゴールというところに直結するのではないかと思っています」。

アウェイ・鳥栖戦の前日となる5月19日、報道陣公開の練習冒頭でのこと。

アップをする小見選手の横には、田中達也アシスタントコーチの姿があった。選手と同じようにアップをしつつ、小見選手に何やら声をかけているようにも見えた。

田中アシスタントコーチといえば、練習終了後に選手たちが自主的に参加する「達さん塾」の塾長として、選手に最も近い位置から具体的なアドバイスを行い、多くの選手の成長を支えている存在。もちろん、小見選手も個々の塾生として、大きな成長を果たした一人。いわば、師弟関係といってもいい間柄。

「自分のゴールが生まれていないこの期間は、とても苦しいです。だからこそ、早くゴールを決めたいです。チームのためにも、自分のためにも」(小見選手)。

明日の鳥栖戦を皮切りに、カップ戦も含め、チームは短期間で3連戦。ここで勝利し、勢いをつけ、上位に食い込んでいきたいところ。

若手のゴールがチームに勢いをもたらすのは、前節の横浜FMでも証明済み。

次は!

背番号・16番の躍動、とびっきりの笑顔が見たい。

 

◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート。

 

【関連記事 コジマタケヒロのアルビ日記2023】
前回:Vol.9 三戸舜介 「どんな形でも」

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