【NIIKKEIキシャメシ】5月22日 イケメンにもほどがある逸品の「天丼」を前に、理性を忘れる

新潟市中央区の「天ぷら はせ川」この店の風情で「間違いない」とわかる

どんな食べ物にも「イケメン」と「性格で売るタイプ」は存在する。これは決してルッキズムではない。見た目のキレイさではなく、味の偏差値でももちろんなく、あくまでその料理の「在り方」「立ち位置」を指す。あくまで記者の独断と妄想に過ぎないので、決して目くじらを立てないように。

パスタならペペロンチーノはイケメンだと思うし、カレーならバターチキンカレーなんかは濃い目のイケメンに感じる。鍋ならアンコウ鍋や水炊きなんかはイケメンだなあ、と思う。これ勝手な思い込みなので基準はないし、そこは申し訳ない。

さてサラリーマンの昼の定番、丼ものはどうか? かつ丼もタレかつ丼も性格は良いけどイケメンではない。牛丼も良くて友達まで。海鮮丼は金持ちで外車に乗ってるが、逆にこっちが遊ばれそう。ローストビーフ丼はチャラいし、ロコモコ丼に至っては”誰やねん”だ。そこへ行くと江戸前の天丼はかなりシュっとしたイケメンだと思う。天丼って美味しいうえに、ちょっと粋(いき)な風情が漂うのだ。

昼は天丼一択で。1,000円で本格派の江戸前天丼が食べられる

そこで本日のキシャメシ、新潟市中央区の「天ぷら はせ川」に。APAホテルが建った流作場五差路から商店街の方にちょっと入った「沼垂新天地」と呼ばれる場所。実はこの辺、美味い店が多い。はせ川には3回目、味は間違いない。こちらのご主人は数々の名店で修行してきた腕っこき職人だと人づてに聞いたことがある。

店内はL字型のカウンター8席のみ。いわゆるオープンキッチンで、ご主人が天ぷらを揚げていく姿をカウンター席が囲む感じ。記者的にこういうのはポイントが高い。

不躾ながらカウンターの中の厨房を覗くと、実に整然としており、揚げ鍋に張られた胡麻油も、透明感のある黄金色に輝いている。油の酸化した臭いが全くない。

昼のメニューは「天丼」(税込1000円)のみ。以前は天ぷら定食(1500円税込)もあったのだがなくなった。ちなみに以前は天丼が1200円だったが、現在は1000円に値下げされている。このご時世に何たる英断、プロ意識の高い職人はこういうことをする。「お代はお盆に載せて帰ってください」だそう。この日も開店前から並んでいる人もいたくらいだが、なにせご主人のワンオペ。

ただ、この特等席でご主人の流れるような作業を見ていると、着丼した際に間違いなく美味しさが増しているはず。まず粉を溶く水はわざわざ冷蔵庫で冷やしたジャグから注いでいた。こだわりなのだろう。ネタを丁寧に一品ずつ仕込むが、包丁の入れ方がまた見事。

当たり前といえばそれまでだが、ネタのそれぞれに「揚げ方」が違うのがわかる。天ぷらの揚がっていく音が心地よいし香りがたまらない。そうしておいて揚げたてのネタをさっとタレにくぐらせて順々に丼に盛っていく。この天丼が1,000円で食べられる幸せ。

天丼(椀もの、香の物付き)1,000円(税込)也

ありきたりの表現だが、もう絶品。全然重くないのが良い

いよいよ着丼。このフォルムどうよ?やっぱ天丼てイケメンだ。

ざっと見てラインナップは海老×2、キス、イカ、ナス、舞茸、アスパラといったところ。ちょっと食べてみなければわからないネタもある。

記者は迷わず海老天からいくタイプ。実食。いや、美味いね、当たり前だけど。身持ちのカタいで知られる記者だが、これだけのイケメンを前にして、もうどうにでもしてくれって感じ。今日はもう、帰りたくない。

タレにくぐらせていながらもサクサクが死んでいない、わかる?この感じ。サクっときて海老がぷつっと切れる。胡麻油の香ばしさはあるが、全然重くない。

あと天丼のタレといえば甘目を想像する人も多いだろうが、ここのはキリっとして醤油味が立っていて、それがまた良い。見ていると揚げ鍋の油はものすごい短スパンで替えられている。こういうところにも贅沢はある。

いやあ美味かった、今度は夜来るのも良いかな。揚げたての天ぷらに白ワインが合いそうだ。

近くにある名店「甘太郎」でたい焼きを買うまでがセット

 

「天ぷら はせ川」

新潟市中央区万代5丁目3-22

営業時間 12時~14時、17時半~22時  水曜日定休

 

(編集部・I)

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