東京商工リサーチ新潟支店が2022年「新潟県新設法人動向」調査を発表、前年比で1ランクアップ
株式会社東京商工リサーチではこのほど2022年(1-12月)に全国で新しく設立された法人調査を行った。
新潟県の新設法人は1,102社と前年より18社減少、新設法人率は2.8%で全国順位は前年と比較して1ランクアップの44位であった。(新設法人数)-(事業を停止した法人数)は、2022年は284社で4年振りに前年を下回った。
2022年は後継者難に加え、原材料やエネルギー資源などが高騰し、先行きの不透明感から休廃業・解散を決断したケースが増えたほか、長引くコロナ禍の影響やゼロゼロ融資の返済も本格化し、資金繰りの悪化等で倒産が増加した影響とみられる。
法人格別の社数では、株式会社が743社(構成比67.4%)で全体の約2/3を占めた。次いで、合同会社が234 社(同21.2%)、一般社団法人が46社(同4.1%)、特定非営利活動法人(NPO法人)が21社(同1.9%)、医療法 人が19社(同1.7%)と続く。増加率のトップは医療法人で前年比111.1%増となった。
資本金別では、「1百万円以上5百万円未満」が560社(前年比0.3%増)と最も多く、前年との比較で2社増となった。増加率が最も高かったのは、「1千万円以上5千万円未満」の30.0%増であった。1億円 以上の新設法人はなかった。
産業別では、10産業のうち、5産業が前年より増加、前年より減少が4産業、同数が1産業であった。増加率トップは、不動産業(前年比26.5%増)、次いで、運輸業(同18.1%増)、製造業(同11.1%増)が続く。一方、減少率トップは、金融・保険業(同39.1%減)、次いで、農・林・漁・鉱業(同34.8%減)、小売業(同16.4% 減)となった。なお、製造業は3年連続で増加している一方、金融・保険業は2年連続で減少している。
業種別では、構成比2%以上で、増加率トップの業種は、産業別同様不動産業であった。 構成比が最も高い業種は、前年に引き続き建設業(17.3%)、次いで学術研究,専門・技術サービス業 (11.1%)、他のサービス業(10.7%)と続き、トップ3は前年と同じ業種となったが、学術研究,専門・技術サービス業及び他のサービスは何れも前年比で減少している。
市区郡別では新潟市中央区がトップで205社(前年比8.4%増)、次いで長岡市121社(同18.2%減)、 上越市104社(同28.3%増)、新潟市東区78社(同21.8%増)、新潟市西区71社(同25.2%減)となった。
2022年の新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数(最新データは2021年度)で除した 都道府県別「新設法人率」を算出した。
トップは沖縄県の7.53%。新設法人率の算出を開始した2010年以降、13年連続で全国トップを守った。以下、東京都の6.84%、福岡県の5.82%、大阪府の5.64%、千葉県の5.28%と続く。 一方、新設法人率が最も低かったのは、秋田県の2.68%。次いで、山形県の2.74%、岩手県の 2.78%と東北各県が続く。人口減少率(総務省人口推計、2021年10月~2022年9月)が大きな地域ほど、 新設法人率が低い傾向にある。
2022年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(以下、新設法人)は14万2,189社(前年比 1.6%減)で、2年ぶりに減少した。2021年は前年の反動もあり、14万4,622社と過去最多を更新した。2022年は減少したものの、過去2番目の14万社台を維持した。
新潟県の新設法人は前年比で12社減の1,102社となり、新設法人率は前年と同値の2.8%、全国順位 は1ランクアップの44位となった。
政府は経済活性化に向け「GX・DXなどを進めるための企業参入と退出の円滑化」の検討を進めている。新設法人数は高水準を維持しており、企 業の「新陳代謝」の議論がさらに活発になることも予想される。また、経営者保証に依拠しない融資 やスタートアップへの投資のインセンティブ強化など、多様な取り組みが加速している。これが新設 法人の動向にどのような影響を与えるか注目される。