「幻のそば」と言われる長沢そばを提供する新潟県妙高市のそば店「長沢茶屋」が今季オープン
「幻のそば」と言われる長沢そばを提供する新潟県妙高市のそば店「長沢茶屋」が23日、降雪のため冬季間閉店していた店を開き、今季のオープン日を迎えた。初日はランチで用意していた30食がほぼ売り切れた。
長沢そばは100年近い歴史がある田舎そばで、山菜のオヤマボクチの葉の繊維をつなぎに使っており、つるつるとした食感とのど越しのよさが特徴だ。長沢そば生産組合の組合長が伝統製法を守りながら手打ちで作っている。オヤマボクチを使用したつなぎは小麦粉に比べ蕎麦が切れにくく、オヤマボクチ自体に風味がないといった特徴があり、風味がないからこそ蕎麦本来の風味が味わえるという。
同様のオヤマボクチを使ったそばは長野県飯山市にもあり、長沢茶屋がある長沢地区と長野県飯山市の富倉地区は県境を挟んで国道292号線上で数キロの距離でしかなく、同じ食文化だという。非常に狭い食文化の中で食べ継がれて来たという意味で、どちらも幻のそばと呼ばれている。
長沢茶屋では定番のそば(800円税込み)とフキノトウやコゴメ、ウドなどの山菜の天ぷら(500円税込み)が人気メニューだ。以前は1月から3月まで閉店していたが、今季は通年営業を予定しており、5月の大型連休明けには笹寿司の提供を始める予定のほか、冬には鴨そばをメニューに加える考えだという。
昨年妙高市が募集した地域のこし隊員が3年の任期のところ、家庭の事情により1年で出身地の東京へ帰ってしまったことから、以前から指定管理者として店舗運営を担っていた地元のNPO法人いきいき・長沢が厨房スタッフ2人などで今季から引き継いでいる。
NPO法人いきいき・長沢の大野公男副理事長は「幻のそばと言われる長沢そばの伝統を引き継いで残さないといけない」と話し、厨房の女性スタッフは「長沢の味をみんなに知ってもらいたい」と話していた。
営業は金、土、日曜日の午前11時から14時のみ。