岩塚製菓(新潟県長岡市)が地域と共に取り組む「自然栽培米」——7年目の田植えを実施
米菓の製造販売を手掛ける岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)が、JAえちご中越(新潟県長岡市)など地元の団体や生産者組合と共同で取り組んでいる「自然栽培米(天神米)」の田植えを6月5日、長岡市飯塚地区の棚田で行った。
1947年に長岡市にて創業し本社を置く岩塚製菓は、地域の自然環境を守っていくことに力を入れている。自然栽培米をつくる取り組みは、2017年から始まり、今年で7年目を迎えた。この取り組みにはJAえちご中越が技術的なバックアップするほか、生産を担当する有限会社ファームリンクル(新潟県長岡市)、販売を行う里山元気ファーム株式会社(新潟県長岡市)が協働して行っている。
自然栽培の田んぼは、岩塚製菓本社工場からほど近い通称「天神谷」と呼ばれる山あいの場所にあり、作付面積は55アール。田んぼ周辺が山林で囲まれており、他の田んぼと接しないため、肥料や農薬の影響を受けることはない。また、山からの豊富な天然水が田んぼに供給され、自然栽培米を育て上で最適な条件が揃っている。
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自然栽培米が育てられている通称「天神谷」(新潟県長岡市の飯塚地区)
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自然栽培の田植えを行う様子
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自然栽培の苗を手植えする様子
一方で、自然栽培米の生育にあたっては、除草作業と稲の病気から守ることの負担が大きいという。除草作業は、田植え後数週間後から頻繁に行う必要があり、手分けをして行っている。手作業の部分が多く、その負担は少なくないが、これまでは関係者が協力しあい、丹精込めて自然栽培米を育ててきた。
JAえちご中越の営農経済担当の難波英洋常務理事は、「山の田んぼという環境は本当に作業が大変。でも今の農業の環境を守っていく上では、一番象徴的で素晴らしい取り組み。岩塚製菓さんが力を入れているこの取り組みが、是非『米』というところから、あるいは米の前の『環境』という視点からPRをしていただいて、長岡の地域の農業を今後も維持、継続、さらには発展してけるように協力していきたい」と話した。
岩塚製菓の取締役で購買部の小林晴仁部長は、「岩塚製菓では、『原料より良いものは出来ない』という創業者の教えがある。いい原料は何かと考えたとき、究極のお米として自然栽培米があると思い、(生産に取り組むことが)岩塚製菓にとっても親和性が高いと考えスタートすることとなった。今日からまた新たなステージということで、天神谷米が次のステップに行けるといいなと心から願っている」と話した。
7年目となる自然栽培の田植えは、関係者らが一部を手植えで行った。自然栽培の収穫は、例年9月下旬から10月上旬に行われ、10月下旬ころから里山元気ファームが経営する岩塚製菓直売所やインターネットにて「天神谷米」として販売する。
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JAえちご中越の営農経済担当の難波英洋常務理事(右)
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岩塚製菓の取締役で購買部の小林晴仁部長(一番右)
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関係者が記念撮影をする様子
(文・撮影 中林憲司)