【NIIKEIキシャメシ】6月5日 記者、大分中津からあげを食べて鶏ムネ肉のイメージが一変する
「キシャメシで取材に行ってほしい店があるのだけど」
編集部の同僚にこんな頼まれごとをした。正直、気が進まない。キシャメシというのは記者が日常の取材活動の合間をぬって食べた「昼メシ」を紹介しているのが見どころ。だから「わざわざそれを目的に」行ったりはしないし、原則取材はしない。そこは編集部みな心得たものである。店を紹介されて、そこを書けばその時点で「昼メシ」から「案件」に変わってしまい、趣旨とズレる。取材すれば人のつながりができてしまい、レビュアー目線がなくなるのではないかという懸念もある。
ただそうは言っても、記者それぞれが、抱えるしがらみの中で活動しているわけで、その中で発生する「案件メシ」は、それはそれで「キシャメシ」に違いない、という気持ちもある。
葛藤の末に、導き出した落としどころは「取材調整をせずにダマで行く」。気分はミシュランの覆面調査員だ。
やってきたのはからあげ専門店「鶏笑・新発田店」(新発田市三日市)。鶏笑は全国チェーン店で、新潟県内にも他に3店舗ある。国道7号線ロードサイドの立ちより安いロケーションにあるテイクアウトが主の店舗だが、店内にはイートインスペースも若干ある。お食事メニューは弁当中心だが、イートインスペース利用者には定食類も近日お目見えする予定との情報。弁当はごはん大盛無料、これは有難い。2022年11月にオープンしたばかり。
弁当のラインナップは当然、からあげ弁当、チキン南蛮弁当、とりてん弁当と鶏づくし。何と言っても売りは近年からあげ界に旋風を巻き起こした大分県中津名物のムネ肉を使ったからあげ。なるほどねー・・・
申し訳ないが、記者はムネ肉からあげに懐疑的な立場をとらせていただいている。偏見かもしれないが、パサパサしてあまり美味かった思い出がないからだ。どういうわけかムネ肉からあげは、女の子が作ってくれるお弁当にかなりの頻度で入ってくる。先方はヘルシーさを強調したいのだろうが、こちとら男子は脂ジュルジュルのモモ肉を喰らいたいのが本音。笑顔で「美味しかったよ。料理上手だね」と返しつつも、いつも残念だった気がする。
とりあえず、メインには新発田店オリジナルメニューのチキンカツ弁当(税込640円)を頼みつつ、サイドにムネ肉からあげ100g(税込300円)をチョイス。なにせ覆面調査員だから、紹介案件とはいえ、いつものキシャメシと同じように料金を支払う。当然だ。
揚げ物は注文してから調理開始。揚げたてが提供される。ややあって着弁。さてどうよ?
チキンカツ弁当は見た目にもなかなかのボリューム、ポテサラも付いて、この感じでこの値段なら十分。さっそく実食。サクサクの衣に鶏がやらかーい。これ鶏自体がかなり良いのがわかる。
そして、中津名物ムネ肉のからあげ。「タレ漬け込み前に、秘伝の粉に馴染ませることでパサつきやすいムネ肉がジューシーに仕上がりました」と能書きにはあるが・・・・
ほほー、マジか、これがムネ肉のからあげ?めちゃくちゃジュワるやん!いや美味いわ。ジューシーなやわらかさと、ムネ特有の弾力の同居。衣が極薄でショウガ&ニンニクベースの味付けも濃くないから鶏肉自体の旨みがぐいぐい来る。しかしどこから滲んでくるのかこの肉汁。正直、このジューシーさはムネ肉からあげのイメージを完全に覆す。ご飯のおかず能力も高く、ビールのアテとしても秀逸。
こうして記者は、普段通りの鶏笑からあげとチキンカツ弁当を、無事食べることができた。全国チェーンは伊達じゃないし、今まで先入観でムネ肉からあげを食べてこなかった人たちは、悪いこと言わないからご所望あれと言いたい。
(編集部・I)
【NIIKEIキシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。
【鶏笑 新発田店】
新発田市三日市222-2
営業時間11時~14時、15時~20時 火曜定休日
グーグルマップより
【前回のキシャメシ】