【長岡新聞】いよいよ具体化へ一歩 雪国に対応した太陽光パネル 新潟県長岡市内の公共施設で実証実験
新潟県長岡市の磯田達伸市長はこのほど、長岡市内公共施設での太陽光パネル設置を目指し、今年7月から実証実験を始めると記者会見で公表した。同実証実験には長岡技術科学大学(上富岡町)と市内3社が参加する。長岡市は昨年9月、「太陽光パネル設置に関する技術提案」の募集をした。さらに本年3月には、再生可能エネルギーの日常的な利用に向けた環境を整えるとともに、新たなエネルギー産業の立ち上げを目指して「長岡市カーボンニュートラルチャレンジ戦略2050」をスタートさせている。雪国対応太陽光パネルの施工や商品化に向けた取り組みがいよいよ具体化する。
技大と3社が雪国向けの太陽光パネルを提案
昨年9月に公募した雪国に合わせた「太陽光パネル設置に関する技術提案」には、技大とイートラスト(東京都)、敦井産業(新潟市中央区)、長測(長岡市中沢町)の3社が応募した。3社からは壁掛け軽量や窓ガラス一体型などの太陽光パネルの提案がなされている。東北経済産業局(経済省)の「エネルギー高度化・転換理解促進事業費補助金」の採択も受け7月からの実証実験に期待が集まっている。
各種太陽光発電設備は、中央図書館やハイブ長岡、JR長岡駅とアオーレ長岡を結ぶペデストリアンデッキ、川口公民館、寺泊水族館など約10カ所に設置し、耐雪性や発電量などの性能評価と普及に向けた技術開発などの検証を行い、雪国での太陽光発電の有効性を確認する。
実証実験で得られた施工方法や発電データなどは、「長岡市省エネ・再エネ産業振興プラットフォーム」の参画企業や団体で共有し、市内企業の脱酸素分野への新規参入を促進する。市長は「二酸化炭素の削減に太陽光発電はかかせない。雪国で活用できないのはデメリットであり、しっかりと使っていくための方法を探っていく」とした。
米百俵プレイス東館・西館がZEB化
また、同戦略では公共施設のZEB化(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)も進めていく。ZEBは、快適な室内環境を確保しながら消費する年間の一次エネルギーの収支ゼロを目指した建物のこと。省エネで使用量を減らし、創エネでエネルギーを作り出すことで、消費量の実質ゼロを実現する。
大手通坂之上町地区で建設が進む米百俵プレイスの東館がこのほど、西館と同様に環境省の[ZEB 0riented(ゼブ オリエンテッド)の認証を受けた。自然換気システムや全照明のLED化、地中熱を室内に取り入れるクール・ヒートトレンチシステムなどを導入する。これにより東館で約41%、西館で約44%の一次エネルギーの消費量削減を見込んでいる。
このほか、イノベーション加速化補助金や事業所用高効率機器導入支援事業補助金などで、低炭素化・脱炭素化につながる取り組みを支援する。同戦略に基づき、再エネ分野の需要拡大により新たな市内産業の創出を図っていく。
【長岡新聞 2023年6月8日付】