日本仏教看護・ビハーラ学会が第19回年次大会を開催 『がんばれ仏教!』の著者・上田紀行氏らが講演 6月11日まで
日本仏教看護・ビハーラ学会(今井洋介会長)は、6月10日と11日、新潟市沢海にある曹洞宗の寺院・隆明山大栄寺にて、第19回年次大会を開催した。
同学会は、看護やターミナルケアのみならず、医療・福祉・教育など「いのち」を巡って関係しあう諸問題を、「仏教」を基調とした考え方で問い直し、将来に向けて提示し、実践していくことを目的としている。主に、僧侶や医療従事者、大学教員などから構成されている。
10日は、同寺五十嵐紀典住職による講和を皮切りに、今井洋介会長による挨拶や今村達弥大会長による講演がなされた後、「開かれた仏教と未来」というテーマで、東京工業大学副学長で、文化人類学者の上田紀行氏による基調講演が行われた。上田氏は講演の中で、「煩悩を見つめて、自由になっていくための仏教こそ、究極のリベラル・アーツ(自由に生きるための技術)なのではないか」と指摘し、これまでの自身の生い立ちや、人との出会いの中から、「仏教というのは、苦悩を大切にする。苦悩をご縁に変えていくことが‟生きる意味“に繋がっていくのではないか」と問いかけた。
今井会長の呼びかけで、新潟県秋葉区から参加したという舟山寛子さんは、「今日は来てよかった。話に引き込まれた。将来的に緩和ケアや生活福祉医療に何らかの形で関わりたいので参考になった。自分自身、宗教を嫌煙していたが、上田先生の話を聞いて考えが変わった」と感想を述べた。
新潟市秋葉区で、今村大会長が院長を務めるクリニックの近所で薬局を経営している縁で、当日、大会事務の采配を振るっていたのが、長井知子事務局長である。長井事務局長によれば、当初80人くらいの参加者を見込んでいたが、あっという間に140人に膨らんだという。アメリカのような外国からや、国内でも全国各地から参加者が集まった。「滞りなく行えるか不安だったが、なんとか開催できて良かった。大変でしたが、頑張りました」と、ほっと胸を撫で下ろした。
上田氏の講演の後は、「社会にアウトリーチする仏教」というテーマで、西岡秀爾氏(曹洞宗・崇禅寺住職)、伊藤竜信氏(浄土宗・西蓮寺住職)、玉置妙憂氏(非営利一般社団法人大慈学苑)、堀眞哲氏(浄土宗・真福寺住職)のそれぞれの活動報告、シンポジウムなどが行われた。
(文・撮影 湯本泰隆)