【村上新聞】村上市長選挙 無念の斎藤氏「まだ選挙権のない若い人たちのため」
任期満了にともなう村上市長選挙の投票が11日行われ、現職の高橋邦芳氏が3期目を決した。
元旧山北町議で3度目の市長選へ挑んだ新人の斎藤寿明氏(75歳)=勝木=は、開票の時を自宅で迎えた。過去に経験した選挙戦と同様、組織支援を一切受けず、たったひとりで市内を行脚。1日20〜30km歩くというライフワークのまま、自身の目で市民の暮らしを見つめ、声を聞いたという。
「名前を連呼するような選挙は、何の意味も持たない。このやり方を変えなければならない」と、独立独行、拡声器を携え、歩いて姿を見せること、自ら選挙ポスターを掲示すること、街頭演説することを貫き、道すがら言葉を交わす人の声を聞いた。
「政治は言葉。みなさんが変わることが、まちが変わること」と訴えながら市政運営の在り方を説き、「まだ選挙権のない若い人たちのために」「若い人が希望を語れるように」と挑んだ。
午後9時頃、全体の投票率が61・52%と8年前の前回より8ポイント以上低下したことを知ると「選挙が身近でなくなってきた」と吐露。午後10時、最初の開票速報「吉川氏2000、斎藤氏0、高橋氏2000」を神妙な面持ちで見つめた。
午後11時の速報で高橋氏に当確。最終値540という自身の得票と落選を受け止め、「勝ち負けを問わず、人を知ることができた」とし今後の出馬等について「一生付き合っていくもの。歩き続ける中、人のあたたかな気持ちに触れなければ、とっくに諦めていた」と語った。
活動の手応えについて「結果はどうあれ、人の心が動き、何かが変わったのでは」と振り返り、「人が生きるというのは、自分の無力との戦いでもある。そこで立ち止まったら何も変わらない。まず自分が動き、変われることを訴えた」と強調した。
村上新聞2023年6月17日号掲載予定