【歴史特集】にいがた観光カリスマ・永見完治さんと行く、知られざる上杉謙信公ゆかりスポット【マップ付き】

昨年の謙信公祭の様子

2025年に記念すべき第100回目を迎える、上杉謙信の遺徳を称える祭り「謙信公祭」(新潟県上越市)。昨年は上越市の中川幹太市長が上杉謙信公役を演じた。過去には、NHK大河ドラマ「風林火山」で謙信公役を演じた歌手・俳優のガクトさんが何年にも渡り、謙信公役を見事に演じ、2日間で20万人を超える観客を集めたこともあった。

数年前から市民から公募するようになり、今年も市民から謙信公役を募集中である。100回目を目前とした第98回謙信公祭も今年8月18日〜20日(18日は前夜祭)に決定したが、それに先駆け、にいがた観光カリスマで、ボランティアガイドの組織である上越観光案内協会会長の永見完治さん(新潟県上越市在住)に、一般的にはあまり知られていない上杉謙信スポットを案内してもらった。

謙信公は1530年生まれで、49歳で春日山城にて死去した。墓とされる場所は国内に3か所ある。これは、謙信公が生前、高野山(こうやさん・和歌山県)、林泉寺(りんせんじ・新潟県上越市)、岩殿山明静院(いわどのさんみょうじょういん・新潟県上越市)に自身の骨を埋めるように遺言したからとされている。高野山は高僧の空海(くうかい)が開いた真言密教の聖地で、当時の戦国大名が崇拝した寺院である。林泉寺は、謙信が幼少期に過ごしたゆかりの寺院で、学問などの修行を行なった場所だ。

林泉寺にある謙信公の供養塔の前で(左は永見さん)

また、岩殿山明静院には、神話時代、日本国をつくった神である大国主命(おおくにぬしのみこと)と、現在の新潟県糸魚川市出身とされる奴奈川姫(ぬなかわひめ)が結婚し、のちの諏訪大神(すわのおおかみ・諏訪大社の神)が誕生したと言い伝えのある岩屋がある。諏訪大神が2人の子供であることは、日本最古の歴史書「古事記」に記載されている。

従来は、神話の世界の物語とされてきたが、2017年に上越妙高駅西口付近の釜蓋遺跡から出土したサメのような魚の姿を描いた絵画土器が出土したように、出雲との交流を示唆させるような遺跡が次々と発掘されている。また、弥生時代後期に大国主命や奴奈川姫のモデルとなったような人物たちが住んでいた痕跡が、現在の上越市五智にも残されている。

岩殿山明静院にある謙信公の供養塔

諏訪大社の神・諏訪大神が生まれたとされる岩殿山明静院にある岩屋(鳥居の上部)

しかし、あまり一般的には知られていないが、実は謙信公は火葬されておらず、大きな甕(かめ)の高価な朱泥(赤褐色の泥で、当時の金(きん)よりも貴重だったとされる)の中に、甲冑を着たまま背を丸めた状態で入れられたという説がある。つまり、墓に骨はないということだ。現在も甕に入れられたまま、上杉神社(山形県米沢市)に納められているという。

「謙信公は今や春日山神社(新潟県上越市)にまつられている神ですので、甕を開けるなんてことは絶対に許されません。仮に開けて調べれば、X線で身長などは分かるでしょうが。さすがにすでに骨だけでしょうけどね」(永見さん)。つまり、前述した3か所は、看板では墓としているが、厳密には「墓」ではなく、「供養塔」なのである。ただし、高野山は供養塔ではなく、木造の建物の廟(やしろ)がある。

そして、最後の知られざるスポットは、謙信公の母、虎御前(とらごぜん)の墓だ。春日山(上越市)の林泉寺横から狭い林道をかなり車で入っていくと、その墓はある。かなり古い墓石で、ワンカップ酒も置いてあり、知る人ぞ知る場所だが、歴史ファンなど訪れる人もいるのだろう。まさに、謙信公のルーツの場所とも言える。謙信公ファンにはぜひ巡礼してもらいたい場所だ。

今回、マップも付けたので、歴史ファン、謙信公ファンにはぜひ新潟県上越市を訪れてもらいたい。

謙信公の母、虎御前の墓の看板を示す永見さん

虎御前の墓

春日山城址の上杉謙信公像

越後上杉おもてなし武将隊の上杉謙信

 

(文・撮影 梅川康輝)

 

【グーグルマップ 岩殿山明静院】

【グーグルマップ 虎御前の墓】

【グーグルマップ 林泉寺】

 

 

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