【NIIKEIキシャメシ】6月12日 記者、三条スパイス研究所のカレーにてミクスチャーの素晴らしさに刮目する
最近あちこちで聞く「三条スパイス研究所がとにかく良い」という評判。2020のミシュランガイド新潟にミシュランプレートとして掲載された同店だから、何をいまさらという話だが、記者はまだ未訪だったため、いつか機会がないかと狙っていた一店だ。
今日は午前中に三条市役所で取材、ということでこの日はまさにスパイスチャンス到来。にもかかわらず取材が結構食い込んで、店にたどり着いたのは14時過ぎ。食事ができるかどうか確認して入店した。
三条スパイス研究所は、話題の図書館複合施設「まちやま」の一角にある「ステージえんがわ」に入っている。ウッディな外観と自然光が採り入れられるつくりはおしゃれで快適な空間だ。
ランチコースは3種類。記者の目当ては、新潟では食べられる店が少ない本格的なビリヤニ(スパイスや羊肉、野菜などと一緒にバスマティ=香り米を炊きこんだインド料理)だったが、この時間ではさすがに売り切れ。オーソドックスなスパイスカレーのプレート「ターリーセット」(税込1380円)をオーダー。
ややあって着皿。どうです、この華やかなりし構図。カレーは2種類、地場産干し野菜のカレーが固定で、もう一品は3つの中から選べる。記者は牛スジと大根のカレーをチョイスした。
カレーの器の他に付け合わせの漬物とスパイスおかずの器が付いている。どれも新鮮な地場産野菜を使っている。三条は工業製品のイメージがあるが、野菜・果物はとにかく質が良いので知られる。近年、三条市の食の名店が次々に注目を浴びているが、地場の素材が良いというのは間違いなく強みだ。
最初はカレーを単品でご飯にかけて、それぞれの味を楽しむ。スパイスの重なりが複雑。辛味よりも旨みの重なりと深みが感じられる。「いろんな味がする」というのは楽しい。
そして三条スパイス研究所のカレーの楽しみ方は、ここから。皿の上でいろいろ混ぜていくわけだ。まずはカレーのかかったごはんにスパイスおかずを投入。これは良い、絶妙に合う。そして次はライタ(ヨーグルトソース)を混ぜて。あ、美味い、奥にもう一つ味の引き出しが出現する。最後は2種類のカレーをミクスチャー!この旨みと香味の重なり、素晴らしいの一言。これはもう、単にスパイスが混ざりあっているだけではない、「スパイス」と「三条という土地」が混ざりあっているのだ。このカレーにはテロワールが感じられる、だから良い。少しずつ混ぜるものを足していって、味の変化を楽しみながらというのが最も上手な食べ方かも。それぞれの素材に役目があるのがくっきり明確になり、それが混ざって、重なり合って相乗効果を生む。
そういえば昔、三条という街はどこか排他的なイメージがあって、なんとなくとっつきにくかった。今は産業観光などで外との交流が増え、人気アニメとのコラボなどもあり、以前と比べて気難しさがなくなったように勝手に思っている。混ざること、味が重なることは決して悪いことではない。
次回はぜひともビリヤニを。
(編集部・I)
【NIIKEIキシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴っ
た、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。
【三条スパイス研究所】
三条市元町11-63
営業時間 9時半~22時 水曜定休
<グーグルマップより>
【前回のキシャメシ】
移動中に出逢った絶品料理!「割烹 魚栄」で極上の刺身ランチを堪能(新潟県長岡市)