【妻有新聞】病院改築、常勤医確保が前提 桑原町長 議会との折り合い課題、「林院長の後任」が大課題

6月議会で医師確保がなければ津南病院新築は難しいと方針を話す桑原町長

「人材面できちんと将来に向かってやっていけるのか、という確信がないとハードへの投資はなかなか厳しいと思っている」。老朽化が進む町立津南病院の建替えを問われ、桑原町長はまず医師確保がなければ新築は難しいと方針を示した。

6月議会で桒原洋子氏が「病院を建て替える方針なのか。接続する恵福園は積立てを行っており、建て替えるならまず話をすべきだ」と質問。現在の津南病院は昭和52年(1978)竣工、築46年目で老朽化が進んでいるが「老朽化自体は一昨年現場を見て一定程度把握。既存の所より一歩踏み込むとなると、人材の方がしっかり整っているかを先にしないとハード整備はなかなか難しい」と常勤医確保なき新築は考えていない姿勢を示し、「人の確保、具体的には林院長の次になる人が見つかるかが、大きな投資の判断になる」と語った。

「誰もが安心できる医療介護体制の整備を最優先課題の一つとして、町民の皆様の命と健康を守る最後の砦として、津南病院の診療継続に向けて取り組んでいる」と改めて強調した桑原町長。病院機能維持に、大きな課題なのが常勤医確保。今年3月議会で、医師確保のために給与に研修費など上乗せ支援する『総合診療医等研修奨学金貸与条例』案は賛成少数で否決。新たな奨学金設置は棚上げになっている。

桒原洋子氏の一般質問に応え、桑原町長は医師確保への思いを述べた。「2~3月、議員の皆様から、待遇面の額の大きさ、また進める方向に疑義が上がったと記憶している。医師確保、医療ニーズが下がるのだから、そんなに急いでやることはないという声があったのも事実。私どもとしては現場の声を伝える中で条例制定し採用活動に臨みたいと言った」。結果、賛成4・反対9で条例案は否決。「私どものいたらぬ所や議員の皆様との対話不足、また議員の皆様も正直申し上げて外の状況、よそが何をして医師を確保しているのかを議員活動の中で、もうちょっと勉強して貰いたいなと、正直に申し上げてそういう所もあり理解する点に至らなかった」と振り返る。

今後どうするか、具体的な提案は未だ出ていない。「議会の皆様とキャッチボールさせて頂いているが、まだその過程にある。私たちのこのやり方に固執することなく、柔軟に折り合いながらやっていくというスタンス。もし医師確保が必要だ、ということを議会として思って頂けるようなら、折り合っていく点で折り合って進んで行くしかない」と議会にボールがあると言及。さらに「状況としてはどんどん新しい課題が入って来る。ここで止まっているとどんどん新しい課題に対応していけない。本当にどうにかしたいなら、会話の機会をとって頂く中で、お互い、どこらへんでいけるのかを考えていく必要がある」とする。

林裕作院長が県立十日町病院や魚沼基幹病院との連携プログラムや従来からの慈恵医大の医局との繋がりを通し「あらゆる手段を通して医師確保に努めていくと聞いている。本庁としてもしっかり協力しながら進めていく」と改めて強調した。

さらに町の課題として、医師だけではなく看護師、保育士など基本的な住民サービスを担う人材不足が慢性化している点を指摘。「議論を加速させ、本当にどうしたら住民サービスの維持が可能か。あるいは維持すべきなのか含めて、皆さんとしっかり話したい」と議会の協力を求めた。

妻有新聞 2023年6月17日号】

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