【スポーツと医学の融合】女子プロバスケットボールの新潟アルビレックスBBラビッツが「眼の精密検査」を実施、未来の「視能訓練士」たちが活躍

左から 新潟アルビレックスBBラビッツの伊藤篤司ヘッドコーチ 新潟医療福祉大学医療技術学部視機能科学科の前田史篤学科長

新潟アルビレックスBBラビッツ(BBラビッツ)と新潟医療福祉大学視機能科学科は6月22日、同学校舎内において連携し、視機能科学科の教員と同学科の学生が選手15人の「眼の精密検査」を実施した。

この取り組みは、WBJL(バスケットボール女子日本リーグ)リーグに所属するBBラビッツの伊藤篤司ヘッドコーチが新潟医療福祉大学で「視能訓練士」などを育成する視機能科学科と連携し、企画し実現した。

スポーツにおける「視力」は、選手の成績に直結する非常に重要な要素。そこで、新潟医療福祉大学が所有する最新鋭の医療検査機器を用いて、BBラビッツの選手の「眼」を様々な項目で検査することによって、医学的な見地からのアプローチをスポーツ選手が受け、より理想的なパフォーマンスを得るという「スポーツと医学」の融合を図る。また、今回の取り組みはスポーツ選手側にだけ利があるものではなく、視機能科学科側もスポーツ選手の「視力」のデータを解析することで、医学の発展も望めるという。

視機能科学科が育成する「視能訓練士」は、眼科医などとともに視力や視野、色覚などを調べる「眼の検査」、視機能の維持・回復のための「矯正・訓練」、視覚障害のある人の「生活指導」や「補助具の選定」など、「人々の眼の健康管理」を行う仕事。2023年4月現在、「視能訓練士」の国家資格は約1万9,000人が保有しており、眼科分野では唯一の国家資格となっている。

検査の様子

今回実施した精密検査では、「動体視力検査」をはじめ、眼底カメラなどの器具を使って、眼底の血管や網膜、視神経などを観察する「眼底検査」、眼位ずれ(斜視)を調べる「眼位検査」など12項目の検査が実施された。検査は選手一人につき、約1時間にわたって12項目の検査が行われ、採取されたデータは後日、選手の手元に届き、選手のパフォーマンスを高めるために使用される。

検査を受けたBBラビッツの西垂水美桜(にしたるみず みお)選手は検査を終えて、「私は普段、コンタクトレンズをつけているんですけど、覚えている限りでは、眼科とかでは指差し検査しかした時がなかった。目の断面図など細かいところまでしっかりと検査することがなかったので、選手として『眼』というものは大事だと思うので、有難い機会だと思う」と感想を語った。

検査を終えて真剣な表情でアドバイスを受ける西垂水 美桜選手の様子

一方、検査を実施した側である新潟医療福祉大学視機能科学科4年生の宮村遥さんは、「こうやって外部の方が検査にいらっしゃって、実際に全く専門的な知識のない人たちの検査をさせて頂くのは初めてだったし、年配層の方々だけではなく、若い世代の方々の検査をする事ができるという貴重な機会で勉強になりました」と話した。

BBラビッツの選手の印象を問うと、「自覚的な応答が頼りになるケースが多くある中で、バスケットボールの選手たちは、本当にハキハキと応答してくれて、スムーズに検査が行えるような印象でした。(BBラビッツの選手は)もの凄く皆さん、仲が良くて検査の合間の休憩中でもお話をされてました」と語り、今後もBBラビッツの応援をしていきたいと笑顔で語っていた。

新潟医療福祉大学視機能科学科の学科長である前田史篤教授は実施された検査について、「我々は普段、視力検査などの様々な検査を眼科の中で行ってきたが、一流のプロ選手に対しての検査をしたのは初めてだったので、我々としても非常に良い経験となった。何よりも学生たちが臨床実習に先月まで行っていて、病院の中で視能訓練士の基本的な技術を学んできた中で、早速その技術を実践する場ができた。しかも、プロのアスリートの人たちの視力を図るという経験は、学生にとっても貴重な経験になったと思うので、大成功だと感じている」と話した。

眼位検査の様子

今後の展望を問うと、「今後は専門的な知識や技能を活かして、プロアスリートのヴィジョントレーニングみたいなことにも取り組んでいけたらと思っている。さらに研究的なことも(BBラビッツと)一緒にさせていただきながら、シュートがよく入る人やディフェンスが上手い人などの眼の配り方などを研究して、選手たちにフィードバックを行い、プレイに活かしてもらいたい」と語った。

BBラビッツの伊藤ヘッドコーチは今回の取り組みについて、「データを上手く活用して、研究に繋げていってくれればいいなと思うし、それがフィードバックとしてスポーツの現場に落ちてくれればいいなと思う。それに加え、こういう機会を作り、(選手たちが)学生たちとの交流が増えれば良いなと思って企画した。コロナの影響で(人間関係が)希薄になるという面がある中で、こういう形式を通じて交流を行い、学びに繋がっていってくれれば良いなと思う」と話した。

続けて今後について、「次はカメラを使用してボールの軌道を追っかけたり、周辺視野の向上、実際のプレイの中で選手がどこを見るのが良いかなど、様々な分野で協力を頂きたいと思っている。また、VR技術を応用したトレーニングなどにも取り組んでいきたい」と語った。

約1時間にわたって検査は実施され、最後にはBBラビッツの選手と学生が記念撮影を行うなど、現場は終始明るいムードに包まれていた。

記念撮影の様子

 

(撮影・文 児玉賢太)

 

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