「長岡市、新潟県から世界へ」新潟県長岡市を拠点に活動する「フェニックスロボッツ」が「ロボマスター」に挑む
中国のシリコンバレーと呼ばれている深圳市では、毎年7月上旬から8月にかけて、「ロボマスター」と呼ばれる、7種類のロボットとプログラミング技術を用いたサバイバルゲームが開催される。DJI(大疆创新科技有限公司)が主宰する同大会は、世界各国から400チーム以上が参加する大きな国際大会である。
長岡技術科学大学、長岡造形大、新潟大学、長岡高専の現役学生とOB約50人から構成される「フェニックスロボッツ」は、「長岡市、新潟県から世界へ」を、モットーに、新潟県長岡市にあるながおか新産業創造センターを拠点にして、大会に向けて日々情熱を傾けている。
従来、ロボコン大会にといえば、大学の学部生までが対象のものが多かった。それに対して、ロボマスターの参加条件は、年齢の縛りがなく、学生であれば、誰もが、全世界から参加できる。
元々は、修士課程に進学したメンバーが、学部時代から取り組んでいたロボット作りに継続して取り組みたいと感じていたところ、このロボマスターと出会い、仲間を募ってチームを作った。
チームを率いるのは、長岡技科大修士1年の髙橋我公代表(22歳)である。髙橋代表は、「初めて出場する今シーズンの目標は、地区大学予選に出場して、一勝することだ」と意気込む。ただ、それにはまだ渡航費など、資金面で不安があるという。
このロボマスターに出場するためには、ただ強いロボットを創ればよいというものではない。大会が海外で行われるということもあり、ロボットやメンバー自身の渡航費や多くのサポートが必要となってくる。サポーターや企業との渉外や、チームのファンづくり、そして、チームの規模が大きくなればなるほど、それらをマネジメントする能力も求められるようになる。これらの条件がある程度揃った結果としての大会出場である。
当初国内に7つあったというチームも、コロナ禍の影響の中で3チームにまで減ってしまったというから、現実の厳しさを突きつけられる。それでも、フェニックスロボッツは、メンバーの人数、保有ロボット台数など、国内3チームの中でもダントツの数を誇っている。
「スポンサーの方や、支えてくれている人達の想いも持っていきたい」と、長岡技科大修士5年で、チーム内で渉外を担当する齋藤祐功さん(25歳)も語る。
この3年間、チームとして出場権を得られても、コロナ禍のため、海外への渡航ができず、悔しい想いをしてきた。チームとして、これまでやって来た分、今年は結果として残したい。
チームのメンバーの想いは切実だ。
ロボットを扱う競技であることから、小学生のときから、ロボコンに携わってきたメンバーも多い。長岡市出身である齋藤さん自身も、活動の原点は小学校の頃に携わっていたNPO法人エジソン学園が主宰していた「ロボコン教室」だと振り返る。「昔に比べて、若い人たちが科学やものづくりに接する機会が減った」と語る齋藤さんは、「ロボコンを通して、若い人の背中を押したい」と語る。「長岡を、ものづくりのメッカにしたい」と夢は大きい。
現在、チームの公式ホームページでは、スポンサー企業はもちろん、個人からの寄付も募っている。寄付は、下記のQRコードから誰でも気軽に行える。
長岡の、否、日本の未来を担うフェニックスロボッツの活躍に、今後も目を離せない。
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(文・撮影 湯本泰隆)