【動画あり】「全員立って、手を挙げろ」、大光銀行白根支店(新潟市南区)で強盗や特殊詐欺事件を想定した訓練
新潟南警察署と大光銀行白根支店(新潟市南区)は7月5日、金融機関における強盗や特殊詐欺事件を想定した訓練を実施した。
訓練では新潟南署の署員が犯人役を演じ、「金を出せ」と書かれた紙を銀行の窓口に置き、持ってきたバッグを放り投げると右手に持ったナイフを行員に向けて「早くしろ」と促し、「全員立って、手を挙げろ」と鬼気迫る様子で金銭を要求した。その後、「爆弾を仕掛けている」などと行員を脅しながら、金銭をバッグに入れさせて逃走を図った。
鬼気迫る様子の犯人役に対し、対応した行員は応対しつつ、銀行内に設置された非常通報装置のボタンを押すなどの対応をとっていた。
訓練後に大光銀行の職員に強盗訓練中の気持ちを聞くと、「訓練とわかっていても、すごく恐かった。本当にそういう事があったら、訓練をしていなければ何もできないなと感じた」と語った。
また、訓練後に新潟南署の大橋裕哉生活安全課長からの寸評が行われ、「(訓練を通して)おおむね良好であったと思う。今回は紙での要求だったが、職員全員が情報共有できている様子で良かった。今回の訓練を通じて、防犯カメラも含めた店舗側のハード面の対策および銀行員さんの役割分担などのソフト面での対策を見直していただいて、実際に事件があった時に適切な対応ができるようにしていただきたい」と講評した。
つづいて、特殊詐欺事件を想定した訓練を実施した。特殊詐欺事件を想定した訓練では、特殊詐欺の被害者役として警察OBの男性が務めた。70歳代の男性が息子を名乗る人物からの電話を受け、200万円を銀行から引き出そうとしているという想定で行われた。
訓練では、窓口に来訪した男性の話を聞いて疑問に思った行員が相談席に誘導し、アンケート用紙などを使って聞き取りを行った。職員が聞き取りを行う中で、最初はリフォーム費用のてめに引き落とすと嘘の主張していた男性が徐々に状況を吐露しはじめ、特殊詐欺被害に遭っている状況だと知覚し、特殊詐欺被害に遭っている状況だと理解した。
訓練後、窓口での受付や相談席での応対をした大光銀行白根支店の川畔(かわはぜ)優佳さんに話を聞くと、「特殊詐欺は窓口が第一線でお客様の資金を守れるので、(利用客の異変に)気づいてあげられることが一番大事だと思う。少しでも変だなと思ったら、ちゃんとお客様の話をゆっくり聞いて、相談することが大事だと感じた」と話した。
新潟南署の大橋生活安全課長は寸評で、「特殊詐欺の未然防止で注意して頂きたいことは、とにかく少しでも不審に思ったら声をかけてほしいということ。今回はとても良かったと思う。警察の依頼でしつこく話を聞かなければいけないと話して頂いて結構なので、そのように対応して頂きたい」と語った。
大光銀行白根支店の小野塚仁支店長は訓練を終えて、「銀行員全体として、当たり前なのだが事務的な作業で終わらせず、お客様の顔をしっかり見て、話をしっかり聞くという所を徹底していきたい」と話した。
なお、大光銀行白根支店は、5月8日と5月22日に特殊詐欺被害を防いだとして、新潟南警察署から表彰されている。
新潟南署の大橋生活安全課長に訓練を通しての感想を聞くと、「防犯のポイントをしっかりと抑えて、銀行員さんたちは訓練を行っていたので良好だったと思う。銀行だけでなんとかしようと思わず、ちょっとこれはという段階で警察に連絡をしてほしいと思う」と語った。
新潟南署管内では、1月から5月末までに5件の特殊詐欺被害が発生しており、約255万円がだまし取られる被害が出ている。対して、特殊詐欺を未然防止できた数は5件。そのうち2件が今回訓練の舞台となった大光銀行白根支店だという。
警察と金融機関の連携が詐欺被害防止の最後の砦となっている。
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