新潟市が「新潟市園芸作物販売戦略会議」を発足、生産面に加えて販売面からも園芸振興を後押し
新潟市と農業団体などによる官民連携で、園芸作物の増産を販売面から促進していく「新潟市園芸作物販売戦略会議」が発足し、30日、新潟市内で第1回目となる会議を開いた。
会議にはメンバーである新潟市の中原八一市長、JA新潟市の石山徳行・代表理事組合長、JA新潟みらいの伊藤能徳・経営管理委員会会長、JA新津さつきの吉田俊男・専務理事、JA越後中央の高橋七郎・経営管理委員会会長のほか、オブザーバーであるJA全農にいがたの安藤稔・県本部長、新潟中央青果株式会社の大澤厚志代表取締役が出席。中原八一市長を同会議の会長に選任した。
中原市長は、「新潟の強みである米に加え、地域の特性や優位性を生かした園芸作物の導入により複合営農を進め、農業経営者個々の経営基盤の安定、強化を図っていくことが重要。オール新潟の販売戦略会議を立ち上げ、園芸作物の販売促進に取り組んでいく」と語っていた。
具体的には、枝豆、スイカ、日本なし、かき、西洋なし「ル レクチェ」など重点品目とし、作付面積や生産数量などの情報や販売方針(時期、エリア、ターゲットなど)の情報共有を図ったり市場調査などを行なったりしながら、首都圏や関西圏などの県外大消費地で販促活動(市長トップセールス、SNS広告、試食宣伝会、週末マルシェへの出店支援など)などを展開していく。中原市長は、「コロナ禍のなかで、販促活動が難しいが、今後、首都圏などの市場関係者へのトップセールス、池袋で行われている週末マルシェへの出店支援などを行なっていきたい。また(園芸作物をPRする)動画をもう少し充実していきたい」などと話していた。
なお同会議は意思決定するための組織で、実際に販促活動の企画提案や内容調整は、別途設ける下部組織の実務者担当会議(ワーキンググループ)が行なっていく。
一方、農業生産額や農家所得の向上のためには、価格が下落傾向にある米に頼った経営から脱却し、高付加価値の園芸を導入(複合営農を導入)していくことが必須なことから、新潟県では新潟県園芸振興基本戦略を策定し、生産額1億円以上の園芸産地の倍増に取り組み始めた。
また新潟市でも、これまでに大規模園芸産地の育成支援や、労働生産性を高める選果場(枝豆、スイカなど)の整備支援など生産面から園芸の普及に取り組んできた。
こうした中、今回、新たに農家が苦手と言われる販売面からも、園芸の普及を後押ししていくことで、園芸の振興に弾みがつくことが期待される。また新潟市のこうした取り組みが、農業生産者たちが園芸導入に目を向けるきっかけになることも期待される。
【関連記事】
連載 新潟の農業 活性化の処方箋は園芸にあり 第1回「青森、山形、長野に後れをとる新潟の農業」(2019年10月27日)
https://www.niikei.jp/24922/
新潟の園芸振興を研究面から支える「新潟県農業総合研究所 園芸研究センター」(2020年6月25日)
https://www.niikei.jp/37870/