【会社の目的は永遠に存続すること】グローバル企業・アイリスグループの大山健太郎会長が特別講演
生活用品・家電の総合メーカー、アイリスオーヤマ株式会社(宮城県)の創業者である大山健太郎代表取締役会長は7月22日、開志専門職大学紫竹山キャンパスにおいて、「消費者目線、ユーザーインの重要性」をテーマに特別講演を開催した。
大山健太郎会長は1945年生まれ。生活用品などの総合メーカーで国内外に30社、世界各地に36工場を展開するアイリスオーヤマ株式会社の前身である「大山ブロー工業株式会社」に19歳の若さで就任。そして、1991年に社名を「アイリスオーヤマ」に変更。生活用品メーカーからLED照明・家電メーカーに業態を広げ、総合メーカーへと会社を拡大させた。2009年に藍綬褒章、2017年に旭日重光章をそれぞれ授章。そして、2018年にアイリスオーヤマの代表取締役会長に就任した。
大山会長は講演内で、「会社の目的は永遠に存続すること、いかなる時代においても利益を出せる仕組みを確立する。基本的には赤字企業はいずれ衰退する。利益をなし得れば、頑張れば何とか会社は世の中の変化があっても生き残ることができる。そのためには、世の中の変化をスピーディにキャッチアップしようというのが当社の考え。だから、いかにお客様のニーズを我々がキャッチアップし、先代的なニーズを我々がしっかりと提案することによって、新しい需要を創造する」と話した。
続けて、「全国各地で工場を作り、物流経路を作る。これを構築するのに我々は20年かけて何度も続けてきた。そのおかげで当社は金属製品、家電製品、あるいは食品と色々なものを扱っても取引がスムーズにいく。オンリーワンで市場を作りながら、自らが一番面倒臭な流通という所を時間をかけて構築することができた。当社にとってみれば、そこが業態転換をする一つの大きなキーワードとなったと考えている」と語った。
質疑応答では、受講した学生からアイリスオーヤマが大切にしている事について問われると大山会長は、「世の中の変化は非常に激しい、それにスピードも速い。いくら良い事業構想をしても色々な考えをしても一歩でも出遅れると勝てない。だからこそ、世の中のトレンドにスピーディーに対応することが大切」と話した。
アイリスグループ全体での売上高は、2022年度決算(速報値)時点で7,900億円(2023年1月12日発表)、アイリスオーヤマ単体では、2,506 億円(同)。
8,000億円近い売上高を有するアイリスグループが未だに上場という選択肢をとらない理由について問われると、「売上や利益は誰が稼いでいるのかといえば、社長の方針で働いている『社員』が頑張っているから出ている。その配当は『社員』に払うというのがアイリスの考え方。そして、儲けた金の一部を好況、不況に関わらずに投資に回す。そういう健全な成長をしてきたら、別に上場する必要はない。資本家にとっての良い会社よりも、働く社員にとって良い会社を作りたいというのが企業理念の一つだ」と語った。