【言葉は暴力にもなる】タレントのスマイリーキクチさんがネット犯罪の恐怖などについて講演

講演するスマイリーキクチさん

上越市人権・同和問題を考える市民セミナー・上越教育大学文化講演会(新潟県上越市主催、上越教育大学、上越人権擁護委員協議会共催)が7月23日、新潟県上越市の上越教育大学で開催され、タレントのスマイリーキクチさんが「言葉の責任 ネット被害者・加害者にならないために」などと題して、殺人犯とのデマの書き込みをされたキクチさん自身の経験から、ネット犯罪の恐怖やその対策などについて講演した。当日は会場に市民など約50人の聴衆が集まった。

キクチさんは、1999年に突然殺人事件の犯人だというデマをネットに書き込まれた。事務所やテレビ局に電話、ファックス、メールなどの殺人予告が1000件ほど来たという。その後も、言葉の暴力や誹謗中傷、不評被害に苦しみ、書き込みの削除依頼や警察、弁護士への相談など行ったが、警察は「事件化していない」と取り合ってくれなかったという。

最終的にキクチさんのファンからアドバイスを受け、中野署(東京都)刑事課の男性刑事に相談したこところ、この刑事は偶然にもネット犯罪に精通しており、キクチさんに対して真摯に対応し、これまでの警察の対応が不適切であったことを認めて謝罪した。スマイリーさんは、8月15日付のブログ記事において改めて殺人事件との関連を否定した。

キクチさんは、「言葉は刃物と一緒。言葉は暴力にもなり、人の命を奪うこともある」と語気を強めた。

また、「周りに助けを求めても誰も聞いてくれずに、『あなたはノイローゼだよ』とか『あなたは頭がおかしい』と言われた。しかし、警察で理解のある人に出会い、事件を解決してもらった。ネットの被害にあったので運が悪いと言われることもあるが、私には手を引っ張ってくれる人がいたので、うつにもならず、自分で命もたたずにいられた。私は運がいいと思う」と話した。

さらに、「ツイッターは喜怒哀楽が散りばめられており、怒りが一番拡散される。まずは、情報発信者を疑ってほしい。リアルでは疑うのだが、ネットになるとなぜか疑わなくなる。ノリと空気で投稿してしまうが大きな問題になりやすい。

実名で書けないことは、匿名でも書き込まないことを徹底してほしい。逮捕された19人のほとんどは、私が殺人犯だと思い込んでいた。悪いやつを懲らしめてやろうという正義感を持っていたのだが、自分の正義感を疑う感性が必要だ」と語った。

講演を聞いた上越市在住の男性(50歳)は「インターネットの使い方によって、言葉の暴力で知らない人を苦しめてしまうことを知り、自身もインターネットを使っているので、これからは注意しながらSNSやブログなどを利用していきたい」と話していた。

上越教育大学での講演会の様子

 

(文・撮影 梅川康輝)

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