【華美なものは飾らない】アオーレ長岡で古典茶花の講習会 指導は岩田宗玹氏(新潟県長岡市)

「“キワ”を大切に」と語る宗玹氏

茶道の世界において、茶席に飾る花のことを「茶花」(ちゃばな)と呼ぶ。枝や葉や花などを器に美しく飾る技術が「華道」(生け花)であるのに対して、「茶花」では、あまり華美なものは飾らない。それは、千利休による「花は野にあるように」という教えにちなむという。自然の風景をそのまま摘んできたかのように生けるため、山野に生えている野草を、そのまま使用することが多い。

そんな茶花の歴史や、古の茶会記を学び、二十四節気ごとにふさわしい茶花の活け方を、実技を交えて学ぶことができる講習会が、大手通にあるシティホールプラザアオーレ長岡で、季節ごとに開催されている。講師は、宗偏流正伝庵・家元である岩田宗玹氏である。かれこれ、20年近く継続して行われている講習会だという。

7月26日には、座学と実技指導を交えて、8月の二十四節気と七十二候や、重陽の節句について学び、時季に相応しい軸物や、花の留め方などについての学びながら、各自が持参してきた花器に、それぞれ花を活け、受講生一人ひとりが直接、宗玹氏から指導を受ける。

岩田宗玹氏の指導を受ける受講者

長岡市で古典茶花の講習会が行われるようになったのは、もともと先代の家元である宗龍氏が、新潟三越のカルチャーセンターで講座を指導していたことに因る。当時は、宗龍氏が定期的に、東京から新潟市に通って指導していたが、受講している生徒の中には、長岡市から通う人たちも多かった。そのため、長岡からの生徒らに請われる形で、長岡市内でも指導することになった。その講習会を引き継いだのが、当代の宗玹氏である。当日は、15人ほどの参加だったが、現在、20名ほどが会員として登録しているという。その多くが茶道を学んでいる。

講習会に参加していた一人である50代女性は、もともと東京に住んでおり、東京の三越で、宗玹氏の指導を受けていた。2年ほど前に、新潟県長岡市に引っ越すことが決まった際、宗玹氏から長岡市でも指導をしていることを聞き、以来、長岡の講習会も参加しているという。「終わりがないので難しい世界です」と感想を述べた。

事務局の島田清之助さん(右)、ゆみ子(左)さんご夫妻

事務局を担当している島田清之助さん、ゆみ子さんご夫妻によれば、「名前だけの登録を増やすのではなくて、本当にやりたい人だけ、じわじわと会員が集まってきた」という。本部経費を取らないので、会員同士の連絡やお知らせも、紙媒体ではなく、LINEグループ内でやり取りしあうことによって、経費を削減している。「おかげで会員のITスキルもレベルアップした」と清之助さんは、笑みを浮かべながら話す。

宗玹氏は、新潟に来る楽しみのひとつとして、東京にはない草花に出会えることだと語る。「四季折々の素晴らしさに親しんで、互いに楽しみたいです」と語った。

受講者一人ひとりが、熱心に学びつつ、非常に和やかな雰囲気に包まれた素晴らしい講習会となった。

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