【記者コラム】にいがた経済新聞編集部発「今週の編集後記」
編集後記
芭蕉の足跡
書籍「21世紀の上越スタイル」(21世紀の上越スタイルプロジェクト編、社会評論社刊)が今年6月23日に発行された。経営者やNPO代表、上越市議会議員など上越市民を中心に約30人が各4,000字ほどの原稿を持ち寄り、1冊にまとめた。プロジェクトの代表は新潟県上越市出身で東京電機大学名誉教授の石塚正英氏。
上越市の中川幹太市長が巻頭コラムを寄稿しているが、そのほか、弊社外部ライターで地域史教育コーディネーターの湯本泰隆氏が自ら立ち上げた市民団体「ながおか史遊会」について執筆しているほか、僭越ながら、筆者も小川未明やドナルド・キーンなど文学について書かせていただいた。「21世紀の上越スタイル」は全国書店、アマゾンで発売中。
その本のプロジェクトリーダーである石塚名誉教授に伺った話がある。「奥の細道」で有名な俳人、松尾芭蕉が上越市仲町に3日間宿泊したというのだ。上越市仲町といえば、中心部は有名な飲み屋街だが、外れには住宅街があり、石塚教授もその仲町の出身。現在も生家を自身が理事長を務めるNPO法人頸城野郷土資料室の事務所としている。
芭蕉は旅の途中で体調を崩したらしく、この仲町にあった医者の家に泊まっている。そこで、医者が自宅の畑で育てていたハーブを芭蕉に飲ませたという。芭蕉はここで、「薬欄にいづれの花をくさ枕」を詠んだ。これにちなみ、同NPO法人が「芭蕉ハーブ」のプランター作りを行なっている。
ちなみに、「奥の細道」にはこの仲町の3日間は載っていない。言っていれば幻の3日間である。「奥の細道」の旅はいまだに謎が多く、芭蕉のスパイ説などさまざまな説があるが、芭蕉は新潟県出雲崎町や糸魚川市市振でも句を読んでいる。夏休みは芭蕉の新潟県での足跡を辿ってみるのも悪くない。
(編集部・U)
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