【妻有新聞】「サルナシ」スーパーフード、世界が注目 藍匠に視察相次ぐ、イタリア育種家も 10月14、15日に十日町市でサミット
世界が効能に注目―。キウイフルーツの原種で古くから健康効果が高いと伝わるスーパーフード「サルナシ」。実は十日町市六箇山谷の藍匠・魚沼山菜農園(柳幸雄社長)は約2.5haに約5,000本のサルナシ樹木で栽培しており、日本一の規模を誇る。
サルナシは疲労回復や強壮、さらに皮膚・肺がんなどの抑制効果があるとし岡山大学が研究発表しており、スーパーフードとして関心は高い。今秋10月14、15日は第5回「全国さるなし・こくわサミット」が十日町市で開催。柳社長(70)は「サルナシの魅力を発信する契機にしたい」と話している。
34年前の1989年(平成元年)からサルナシ栽培を手がける藍匠。荒廃地を開拓し、樹木を植える。豪雪対策で枝が雪で折れないよう、鉄筋を立てサルナシを縛り成長させ、雑草対策でソバ殻を約10㌢の厚さにまく。「最初に鶏糞は撒くが、農薬と殺虫剤は使わない。十日町で採れた4原種を使って栽培を進めている。福島や山形の他産地は品種改良を進め過ぎ成分が薄くなったが、野生種であるためうちのサルナシは成分が濃い。農薬を使わないから安心安全な果実でもある」と自負する。
サルナシ効果に着目する企業は多い。大手化粧品原料メーカーからの注文もあり「こんな小さい会社だが、うちを買い取りたいと言う企業はすでに6社ある。それだけサルナシ効能は注目を集めている現われ」とする。昨年は岡山大学の研究者がマウスの肺発癌実験で、サルナシ果汁成分を水代わりに飲ませていたマウスは悪性腫瘍の発生が抑制された論文を発表し、大きな関心を呼んでいる。
藍匠には、国内外からの視察も多い。先月6日は青森・西目屋村の農業関係者が来訪し、荒廃畑の活用と雪国でも育てられる環境を学んだ。海外からもかつて韓国一行が来訪したことはあるが、今月1日は、イタリア・ヴェローナでサルナシ育種家で研究者で博士号を持つフェルディナンド・コシオ氏が来市。
同氏は世界各国のサルナシ原種などを集め1500種類以上の研究・栽培を続けている。豪雪地で地元産原種を採取し生産産する藍匠の活動に注目し、4年前からメールでのやり取りを続けていたが、今回初来市し現地視察。同氏は「鉄筋を使い大雪が降る地での栽培方法は考えたのは世界でここだけだろう。実に素晴らしい。原産種を集めているのも貴重」と称賛する。
いよいよ2か月後にある第5回サミット。受入れ側となる十日町さるなし栽培組合は、千本栽培している黒沢栗生産組合の宮沢八州男さんが組合長、柳さんが副組合長を務めている。水沢地区では「水沢をサルナシの里に」という動きがあり、植栽が始まっている。
柳社長は「サミットではサルナシが花粉症に効果があるかの研究を依頼した北里大の発表も行う予定。サルナシの効能をアピールし、十日町が注目されるきっかけになれば」と期待している。
【妻有新聞】