【ここは北海道?!】吉野家と米を取引した社長が新たに起業 今度は日本デルモンテと取引

標高が800mから1,000mある光ケ原高原(新潟県上越市板倉区)

「ここはまるで、北海道ですよ」。

記者にこう話すのは丸田洋さん(48)だ。

丸田さんが代表を務める新潟県上越市の農地所有適格法人「株式会社LightField」(ライトフィールド)が、上越市板倉区の光ケ原高原で農地の再生に取り組んでいる。ライトフィールドは新潟県上越市出身の丸田さんが2023年1月に設立した企業。丸田さんは以前、水稲栽培主力の有限会社穂海農耕で長年代表取締役を務めてきた人で、地元の農業関係者では知らぬ人はいないというほどだ。穂海では約180 haの水田を管理し、大手牛丼チェーンの吉野家の米を栽培していたという実績を持つ。

一方、光ケ原高原は昔は一大観光地で、宿泊施設やレストランもあり、夏には流しそうめんもあった。2001年11月から12月には、あさま山荘事件を題材とした映画「突入せよ!あさま山荘事件」のロケ地にもなった。

「牧場の閉鎖後、今まで使われていなかったので、観光地として考えると今すぐに利用するというのは難しい。私たちはここを再生するのが役割で農耕地として利用する。ここを資源として、地元観光協会などの人たちと連携して、もう一度観光を盛り上げていくのがいいと思う」と丸田さん。

標高が800mから1,000mある光ケ原高原は1960年代に旧板倉町の町営牧場で、ブナの原生林があった。光ケ原高原全体では約200haの敷地があり、同社が借りているのは約30ha。

株式会社LightField(ライトフィールド)の丸田洋代表

「トマトは暑すぎるとだめ」と話す丸田さんは「トマトは高原がいいのではないか」と光ケ原高原の土地を借りた。粘土質ではなく、水捌けのいい土や高原の涼しい気候がトマトには良かった。トマトの栽培は今年で3年目。5月の下旬に植えて、9月上旬には収穫が終わる。収穫量は約100トンで、ケチャップやトマトジュースを手掛ける日本デルモンテ株式会社(群馬県)と取引をしている。

ただ、「営業はしない」と語る丸田さん。

「私は人との関係性はすごくあるので、長いスパンで回収している。デルモンテ社も金融機関の方が岐阜県に異動になって、紹介いただいた。吉野家も人の紹介だ。こちらは売る、向こうは買ってもらうという関係ではなくて、常に取り組みを新しくやりましょうというのがスタート。何か面白いことができたらいいねと言っている。売って、買ってだけだと、僕らがいかに高く売るか、向こうが安く買うかになるが、取り組みとなるとそもそも農業者と実需者が一緒にやるという事業モデルを作っていくためにどうしますかという形になる」と語った。

前職の穂海では独自の販路を築くなど、上越農業界の「風雲児」である丸田さんの新たな挑戦に注目していきたい。

丸田代表とトマト畑

 

(文・撮影 梅川康輝)

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