【人気記事】開志専門職大学(新潟市中央区)の北畑隆生学長が送る卒業生へのメッセージ「自信を持って社会に出なさい」(再掲載)

開志専門職大学の北畑隆生学長
東京大学法学部卒業、元経済産業事務次官、元三田学園中学校・高等学校校長

【学生による学長インタビュー】開志専門職大学(新潟市中央区)の北畑隆生学長が送る卒業生へのメッセージ「自信を持って社会に出なさい」

2023年春から夏にかけての本紙から好評だった記事をピックアップして、お盆休み期間に再掲載いたします。(編集部)

掲載日 2023年7月9日

新潟県にある唯一の専門職大学である開志専門職大学(新潟市中央区)は2023年で開学4年目となり、初めての卒業生を送り出すこととなる。「情報学部」「事業創造学部」「アニメ・マンガ学部」の3学部構成で、将来の産業をリードしていく人の育成や、国内外のビジネスの第一線で活躍する実務家講師の授業、海外研修、ビジネスプランコンテストへの参加、長期企業内実習(600時間以上)に力を入れ、日本や世界で活躍する専門職大学人材の育成を行っている。同大学の北畑隆生学長に、現在までの振り返りや今後の展望などについて聞いた。

 

3学部のイメージについて

最初に北畑学長に改めて開志専門職大学の3学部である情報学部、事業創造学部、アニメ・マンガ学部のイメージについて聞くと、「これからの挑戦として見ている」と答えた。「情報学部も事業創造学部もアニメ・マンガ学部も共通して新しい分野で既存の大学ではあまり手掛けていないもので、成長分野だと思っている。地元の人材育成機関として新潟の企業からも期待されている」(北畑学長)。

事業創造学部は特に起業家を志す学生もいるが、起業家以外の仕事を希望する学生もいる。それに対して北畑学長は、「事業創造学部だけど、実は起業を目指している子は少数だが、既存の企業はそういう人を欲しがっている。それはいろいろ悩み事を抱え、それを解決するために新規事業が必要だと考えているからだ。だから、起業を目指す人を前提に事業を組み、自ら起業しなくても企業に入って、会社の中で評価されるという位置づけになることを目指している」との見解を話した。

一方で、アニメ・マンガ学部については「専門職大学として新しい分野で挑戦してみたいと思ったが、そもそもアニメと漫画の学問があるのかという理由で認可が厳しかった。しかし、新しいことに挑戦するからこその難しさがあったが、芸術学部・デザイン学部・マンガ学部などがある京都精華大学を例として、建学することが出来た」と振り返る。

続けて、アニメ・マンガ学部の就活について聞いてみると「漫画とアニメの作家になる人や出版社プロデューサーに監督になる人など様々だと思うが、全員がそうではない。だが、別の分野に行くこともできる。例えば、既存の企業でも漫画を描ける子というのは広報部に行くこともあり、アニメ漫画のスキルを持って今まで考えられなかった大きな会社の業種に就職することはありうる。そして、アニメ漫画が面白い点は、日本のアニメ漫画のキャラクターデザインはすごく競争力があり、国際的に活躍できる舞台があるということ。アニメと漫画を取り扱っている専門学校と違うのは、学士号が与えられることで高度な人材を供給し、アニメ漫画という世界に競争力のある分野を大きな産業にしていくことだ」と話した。

 

開志専門職大学のインターン制度について

各学部について語る、北畑学長

開志専門職大学は他の大学とは違い、1年生の頃から大学生たちが実際に企業に出向きインターンシップとして学習をする講義を積極的に行っている。インターン制度について、北畑学長は「最初のうちは課題があった。インターンシップとなると、顧客ではなく従業員と同じ仕事をさせるので、『挨拶の仕方がなっていない』や『事務所の作業効率が落ちる』という苦情が来た。しかし、今はその課題も乗り越えて、企業から『実際に役に立った』と高い評価を受けることが多くなった。『従業員の発想と違うユニークな発想を持っていて勉強になった』という言葉も頂いた」と述べた。

さらに、「良い学生がいっぱい来ているからぜひ取りたい、という会社も何社もあり、最初はお世辞かと思っていたが、実際にはインターンシップで自分たちが向かった企業に就職した学生もいた」という。

続けて、「大学側としたら、新潟の良い企業で勉強させることが出来て、逆に企業側としたら、長い間実習に来て貰っているからそれぞれ実力と人柄も把握出来て、就活時に来て貰ったら安心して採用が出来るなど、お互いにメリットを持つことが出来ている」と話した。

 

教育現場の課題である「偏差値主義」の現在の考えについて

開志専門職大学の学生によるインタビューの様子

約2年前のインタビューで北畑学長は、日本の教育現場の課題で「偏差値重視」であることを述べていた。それについて「現在も変わらない。日本の教育の悪さは、偏差値で仕分けをしているところ。偏差値で人間を評価するのは大間違いだ」と北畑学長は語る。

また、「今の偏差値教育だと、天才的な得意分野を持つ人に対して得意分野のスキルを伸ばせようとはせずに、苦手な分野を直そうとする。いわゆる伸びる能力を伸ばさない教育で、偏差値によって人間の能力が発揮できない場合がある」という。

続けて、「偏差値教育はその子の能力は評価されず、それで日本の社会は停滞しているから、結局平均的な人間としか評価されない、だから、それぞれの個性とか得意分野を生かすようなそういう教育制度を変えなくてはならないと思っている。その点、専門職大学はその教育制度に比較的近い位置にいるのかもしれない。だから、私は偏差値教育の問題意識を少しでもこの大学で解決していきたい。世の中に正当な評価をされるような能力を持った子たちにプロフェッショナルなスキルを持たせて、すきなところへの就職実績を見て、新潟県内の競合校よりはるかに質の良い就職になっている」と語った。

 

今年旅立つ卒業生へ

今年卒業する生徒たちについて、北畑学長は「自信を持って社会に出なさい」と真剣な表情をした後に、「一番は自学の建学精神。自学は自ら学ぶことで普通の大学のような講義で教授が言ったことをノートに取って試験をするという形ではなく、学生たちが主体性を持って自分自身を高めるための勉強をして行って欲しい」と語った。

北畑学長が目指す、「偏差値重視の教育ではなく、学生が自ら主体的に学ぶ教育方針が開志専門職大学」が日本の教育に浸透して欲しいと願う。

 

(文・撮影 佐藤拓磨 、小林隼)

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