【人気記事】LGBT法案可決 実は、高鳥修一代議士以外に10人以上が「お腹が痛くなる」予定だった事実(再掲載)
2023年春から夏にかけての本紙から好評だった記事をピックアップして、お盆休み期間に再掲載いたします。(編集部)
執行部の切り崩しで「腹痛が治った」若手保守派の面々
6月13日、「LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案」(以下LGBT法案)が多くの議論が保留されたまま衆議院で可決されたが、この中で採決の直前で退席した、自民党の高鳥修一代議士(新区割りでは新潟5区)に注目が集まっている。
この法案可決に際して自民党内で明確にボイコットの姿勢をとったのは杉田水脈(当選3回)代議士と高鳥代議士の二人だけということになっている。今回の行動後にネット掲示板などで自民党アンチが「売名行為だ」と揶揄していたが実質、党議拘束がかかる中でこれを売名目的でやるのはリターンが少なすぎる。なにより、もともと高鳥氏と同じように「腹痛」になる予定だった議員は衆議院通過の前日まで10人以上いたのだという。
本番で高鳥氏だけになったのは、言うまでもなく党執行部の執拗な切り崩し工作にあってのものだ。これは高鳥氏自身が、法案可決の夜に配信された「Youtube有本香チャンネル」の中で「若い人たちの中にも党の重鎮に『君の将来に傷がつくよ』と説得されたという話を聞いている。私のところにはありませんでしたが」と話している。
「選挙で自身の選挙区で対立候補擁立をほのめかされた若手もいると聞きます。さすがにそこまで露骨なことは現実的ではありませんが、むしろ効いてくるのは選挙のことよりもその後の出世問題。高鳥代議士が今後干されるのは間違いない。現体制で大臣の目は無くなったでしょう」(自民党関係者)。当選5回、安倍内閣下で副大臣や総裁特別補佐を経験し「大臣適齢期」と言われた高鳥氏だったが、党内での旗色はさらに悪くなったかもしれない。
「整備も十分でないまま、通過させることだけが目的とされている法案審議、という意見もそうだが、なぜそうなったか経緯を理解している党員ならなおさら看過できないはず。要はサミットで岸田総理が米国駐日大使に『即刻これを通すように』とネジこまれたから、という理由が明白なのでね」(自民党関係者)
今回の騒動においては外圧に容易に屈する岸田内閣の姿が露呈し、逆に共同提出法案を丸呑みさせた維新と国民民主は存在感を示した格好。そしていま一つ、解散総選挙を控えた今、一枚岩でない自民党が馬脚をさらしたのは言うまでもない。
自民党内に安倍シンパ一掃の動き
先の「有本チャンネル」で高鳥代議士はこうも話している。「安倍さんはもう亡くなったのだ、そんなことをしても安倍さんが帰ってくるわけではない、と言われる幹部もいて、非常に残念に思っている」。
このあたりは先に高鳥代議士らが「安倍氏銃撃事件の検証が必要」と問題提起した際に、党内で全くと言っていいほど賛同者が出てこなかったことと符合する。現体制が党内保守派を中心とする「安倍信奉者」に対してパージの風潮すらあるのではないか。
有本チャンネルではこの点についても触れている。
「安倍さんがいたら、この法案は…」(有本氏)というように、安倍元総理はこの法案早期可決に慎重な態度を示していた。これは、トイレや公衆浴場において「人権」を盾に性犯罪が肯定されかねない可能性や近年の米国教育現場における性教育の過激化などを懸念してのものだが、かつての安倍ファミリー筆頭格と見られた稲田朋美代議士(元防衛相)などはLGBT法案可決に初手から前のめりだったことも伝えられている。
高鳥代議士が「こんなにも変わってしまうのか、自民党は」と感想を述べているが、今回の法案可決に関しては外圧に負けたという背景にプラスして「選挙を前に安倍カラー一掃」の踏み絵に使ったのではないかという風潮はある。
岸田首相としては満足な結果が得られたのだろうか、そして、果たして踏み絵を踏まなかった高鳥代議士は来る解散総選挙でいかなる迫害の憂き目に遭うのだろうか。
LGBT法案は16日に参議院を通過する見込みだ。
(編集部・伊藤直樹)
【関連記事】
安倍元首相を襲った凶弾の闇、深層を高鳥修一代議士が激白(2023年3月1日)