【ウクライナ侵攻】 避難の夫妻 新潟県長岡市で講演
2022年2月24日からのロシア軍によるウクライナ侵攻は現在も続いている。愛する家族や友人たちの別離を余儀なくされ、父や母を、子や孫を、殺された人々がいる。
これは、はるか昔に起こった戦争の話ではなく、今も進行形で繰り広げられる現実世界での話である。今もウクライナでは、多くの人の幸せが、破壊されている。
8月19日、昨2022年5月に、ロシア軍によるウクライナ侵攻の手から逃れ、ドニプロから新潟県小千谷市に避難した夫婦、イリナ・シェフチェンコさん(39)さんとムタル・サリフさん(37)の講演会が、新潟県長岡市にあるミライエ長岡にて開かれた。講演会は、ウクライナの現状とシェフチェンコさんの活動を多くの市民に知ってもらうために、長岡市観光・交流部国際交流課が企画し、長岡市内外から40人近くが参加した。
冒頭では、羽賀友信地球広場センター長が、ウクライナを取り囲むユーラシア情勢を地政学的見地から解説した。「支援には同情ではなくて、共感することが必要。学びながら支援をしていくことが大切」と述べる。
シェフチェンコさんは、日々小千谷で生活を送りながら、祖国の戦争によって親の世話を失った子どもたちへの支援をすることを決意。『チーム・イリナ』を立ち上げ、オリジナル雑貨を販売し、その売り上げで得た収益をウクライナの児童養護施設で生活する子どもたちに送る活動を行っているという。
また、ガーナ人である夫のムタル・サリフさんは、現在、ウクライナを取り巻く情勢が良くないということと、日本で安心・安全に暮らせていることを鑑み、妻のシェフチェンコさんと、このまま日本へ定住することを決心、日本で外科医になることを志す。「日本と世界をつなぐ懸け橋になることが目標の一つ」と力強く語った。
新潟県柏崎市から講演を聞きに来た石田千華さん(36)歳は、「小千谷市に住んでいる知人から、今回の講演のことを教えてもらい、何となく参加しました。日常を日々過ごしている中で、何となくニュースで目にしていただけで、全然知らないこともあった。話が聴けて良かった」と感想を述べた。
会場には、キーウ出身で、現在は新潟県新潟市にある事業創造大学院大学の大学院に通っているミオンチューク・ヴィクトリアさん(39歳)の姿もあった。
ヴィクトリアさんは、2021年に同大学院に入学したが、新型コロナウィルス禍のため来日できず、その後2022年にウクライナ侵攻が始まると、国内避難を余儀なくされた。2022年、大学側のサポートを受けて、ポーランド経由で日本に来たという。
「日本から遠いウクライナから避難して、全然違う文化背景の中、明るく自分の生活ができて、さらにウクライナの人々のことを色々と考え、努力している。とても感謝している」と述べた。
会場には、「チーム・イリナ」による物販の販売も行われ、オリジナルTシャツや、イリナさんが作ったキーホルダーなども販売されていた。
(文・撮影 湯本泰隆)