【キシャメシ】8月21日、記者、中央区網川原の芸術的ローストビーフ丼に感服「まだ食べていない人は損してる」
月曜日、キシャメシ、さて何を食べようか。話題の店、行っちゃいますか。
新潟市中央区網川原の「早亀食堂」。ランチ営業(11時半~15時半)のみ。今年オープンした新しい店だが、すでに人気店で、正午付近のピーク時には空席待ち必至。
大衆食堂のような店名だが、店主は元フレンチの料理人だとか。お食事は2種類だけ。ローストビーフ丼(税込1,100円)とハンバーグ定食(税込990円)。
ふむふむローストビーフ丼ねえ。何を隠そう、記者はこれまでローストビーフ丼に対し、常々冷めきった目を向けてきた者のひとりだ。まず、あの花びらのように一周して丼の淵から垂れ下がる乱暴な絵面に、記者は品格を感じない。なにか人間の中にある、いろんな欲望でできた食べ物のような気がする。それはあらゆる技巧やセンス、人類が蓄積した食文化など一切を否定しうる品のなさだとさえ感じる。←もちろんこれは食べもしないで勝手に言っていることなので、耳を貸さないでいただきたい。
ただ今回はちょっと期待する。フレンチ出身の店主が、この難解なテーマをどう料理するのか。席に座って、迷わずローストビーフ丼をオーダー。
ぐるりと店内を見渡す、カフェ然とした暖かみあるしゃれた空間。混むと思って時間をずらしてきたが、それでもテーブル席はカップルやランチママ達で埋まっている。
ややあって着丼、ほっほぉ~美しいな、これ。丼にもられたご飯(岩船産コシヒカリ)の上には巻きつけるようにしてうず高く盛り付けられたローストビーフ。そこにかかっている特性玉ねぎソースとマヨネーズソースの色合いのコントラスト。ロービーの頂上に卵黄がパイルダーオン。こんな「絶景」みたいなロービー丼、見たことない!
まずは頂上の卵黄が崩れないよう、一枚、また一枚と肉の羽衣を脱がして口に運ぶ。こりゃうまい!まず柔らかさが良い。牛もも肉を塩糀に漬け込んでから低温でじっくり焼き上げる、その技法が活きている。塩糀による優しくナチュラルな下味付けも品があってよい。そこに絡む特製玉ねぎソースの柔らかでさっぱりした旨みが、ローストビーフと実によく合い、溶け合う。「私はそこに上質なフレンチの技法を、感じざるを得ません」(やりすぎ都市伝説のあばれる君風に)。
頂上の卵黄を、いよいよ崩すと、さらにまろやかな風味に。テーブルにあるブラックペッパーをぐりぐりやってもアクセントになる。そしてさらに・・・つけあわせの「山わさび」と「クリームチーズの味噌漬け」。
まずはローストビーフと相性が良い「山わさび」から。ん、これは鉄板、ロービーといえばこれ。次に「クリームチーズの味噌づけ」をのせて。ほっほ~う、これはこれは。塩糀、チーズ、味噌と3つの発酵が折り重なり、旨みの増幅がスゴい。スゴい、が実に優しい。牛肉の味のポテンシャルをぐっと引き出してくる。これはもう「味変」というレベルで語りたくない。
いや、堪能した。この料理を、税込1,100円で味わえるのなら安いと思う。これはもう一つのメニュー「ハンバーグ定食」も、このままにはしておけまい。再訪の日は近い。
(編集部・I)
【早亀食堂】
新潟市中央区網川原2丁目29-8
営業時間 11時半~15時半(ラストオーダー15時) 不定休(来店前にお店のインスタグラムを確認がおすすめ)
【グーグルマップより】
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。
【前回のキシャメシ】