コジマタケヒロのアルビ日記2023 Vol.13 長倉幹樹「謙虚な新戦力」
2023年7月26日、クラブの公式ホームページに一つのニュースがあがった。
「ザスパクサツ群馬から 長倉幹樹選手 完全移籍加入のお知らせ」。
その翌日には聖籠のクラブハウスで会見が行われた。
初めて話した彼の印象は、常に謙虚な好青年。
「○○です!」
「○○ます!」
丁寧な言葉遣いと、どこかはにかみながらの受け答えに初々しさすら感じた。
が、試合で見た彼は違った。
荒々しいというか、自由というか。
8月12日、ホームで行われた第23節・湘南戦(▲2-2)に途中出場した長倉選手は、相手の裏を取り、ドリブルで突破したと思えば、献身的な守備も光った。
高木善朗選手の2得点で同点に追いついたこの試合、チームに勢いをもたらしたのは長倉選手のプレーからだったと言っても過言ではないと思う。
続くアウェイの福岡戦(○1-0)ではスタメンで出場。
ピッチを縦横無尽に走り回り、総走行距離は12.992km、スプリント回数(時速25km)は22回と、出場選手中断然トップ。まさに躍動していた。
久々にサポーターの練習見学が可能となった、8月22日の練習後、長倉選手に話を聞いた。
——どうしてあんなに試合中走れるのですか?
「チームを走って助けようという思いはあります。深い位置に戻っての守備やポジショニングの取り方で助けたいって思いながら常にプレーしています」
——それに倒れないのも印象的なのですが?
「相手の逆を取ることや、体が接触しないことに心がけてプレーしています。パワーがある方ではないので、当たり負けしないようにするためです」
——長倉選手が相手をスッと交わしていくように見えるのはそのため?
「そうですね。結果、フリーでボールを受けられるようなプレーにつながっていると思います」
——2試合目にして、すでにJ1の強度にも慣れてきているように見えますが?
「自分の力ではなくて、チームのみんなのポジションのうまさで助けられている部分がほとんどです。おかげで僕は自分がいいポジションを取ることだけに専念できています」
——湘南戦では、島田譲選手にいいパスを出し、得点への起点となりましたね?
「ゴール前であっても焦らずプレーできるのが僕の特徴の一つでもあります。相手選手と冷静に駆け引きができるように、焦らないことは常に意識してプレーしています」
——新潟移籍後の初ゴールは、週末からの3連戦で見られそうですか?
「はい。取れるように……。いや、取りたいです……。取ります!」
新潟にとって、この夏、唯一の補強となった長倉選手。
若い力が新潟にどんな進化をもたらすのか。
ワクワクがとまらない。
◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート。
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