コジマタケヒロのアルビ日記2023 Vol.15 渡邉泰基 「浮き沈みの経験」
「彼自身、非常にポジティブに取り組んでくれているのはありがたい。それから右肩上がりではなくて、浮き沈みを経験していることも大きいと思います。普段のトレーニングでも試合の中でも沈んだときにしっかりと乗り越えて、次のときに必ず盛り返す。そういった経験が今の彼の成長につながっていると思います。センターバックというポジションは大きな失点に絡む宿命を持ったポジション。だからこそある、パフォーマンスの浮き沈みをどう捉え、どのように向き合っているかが、彼のあのパフォーマンスにつながっているんだと思います。〜中略〜人は迷いがなくなったときが一番いいパフォーマンスを発揮できるところがあったりします。一瞬一瞬の迷いを自分の中で振り解いてプレーしているように、今の彼は見えます」
これは新潟の指揮官、松橋力蔵監督に渡邉泰基選手の話を聞いたときのコメントの一部。
もともとは左サイドバックが主戦場の渡邉選手がセンターバックに入ったのは、5月のこと。
試合を重ねるごとに好パフォーマンスを披露し、今では最終ラインに欠かせない存在となるほどに急成長を遂げている。
「自分ができることとできない、足りないことがはっきりしてきました。だから集中して、気持ちを引き締め直して、残りの試合に集中したいと思っています。センターバックとしてで始めた当初は相手チームに僕のセンターバックとしてのデータがなかったため、プレッシャーがそこまでない状態でプレーできていた部分がありました。しかし、現在は試合出場の回数が増え、データもそろってきた。パスの出し方やボールの持ち出し、ポジショニング……。もっともっと違いを出せるように、努力したいと思います。残り試合、とにかく勝ち点を多く積むことを目標にしています。残留が決まった訳でもないし、上に行くチャンスがなくなった訳でもありません。とにかく、多くの試合に勝ち切って、高い順位でフィニッシュしたいです」
サイドバック由来の機動力、展開力のみならず、試合を重ねるごとにセンターバック特有の視点や危険察知も徐々に身につけているように見える新潟の若き壁。
近い将来新潟の財産になるであろう選手の成長が楽しみだ。
◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート。
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