【自戒】新潟1区・石崎徹元代議士のSNS写真が「面白い」と評判に、街角のキリスト看板と『コラボ』
いつになることか次期総選挙
次期総選挙は、果たしていつになるのか。広島サミット直後の国会でほのめかされた6月解散は雲散霧消。この時には「9月解散、10月総選挙」が決定的と見られていた。だがここに来て、所属議員の不祥事や国民の懐を直撃する物価高騰などで岸田内閣の支持率はダダ下がりで、周囲は「とても解散に打って出られる状況にない」と言われ始めている。2024年の早い段階で増税に踏み切る可能性が高いと見られているが、その前に国民の信を問うということになればこの時期しかなさそうなものだが。
さて新潟の選挙区の情勢はいかがなものか。ご存じの通り、次回から選挙区の数は1減の5で区割りも大きく変わる。新潟新1区には政令市全域に佐渡が含まれるようになる。
ここでしのぎを削る(予定)のが立憲民主党の西村智奈美、自民党の塚田一郎、日本維新の会の石崎徹、共産党・中村兵夫の4名。2021年10月に行われた総選挙から、石崎は日本維新の会の新潟1区公認候補となっている。
特に野党におけるかつての共闘関係が崩れたことが、結果的に票にはどのような影響を及ぼすのか。共産党候補が立ったことで、前回のような野党共闘は消えたが、逆に連合新潟の中にも「共産党がいなくなったから協力しやすくなった」という組織もある。そして1区で議席奪還を目指す自民党は、維新・石崎の存在がどのように票に影響を及ぼすか。
前回総選挙の大阪などでは、維新の躍進で保守票が切り崩され、苦杯をなめた選挙区も多かった。統一地方選を経てさらに、全国的に維新の党勢は増しているといって良いだろう。維新の石崎が果たして、自民党に行くはずの保守票に食い込んでくるのか、反自民票の受け皿となるのかで、1区の勝敗に大きく影響しそうだ。
パワーワードの横でガッツポーズ
ところで最近、維新・石崎徹のSNSに投稿される写真が「面白い」と多方面で評判になっている。石崎個人のポスターを写したものだが、横には街角でよく見る、黒塗りのトタン製「キリスト看板」と組み合わせて撮影されている。
「神に対する罪を悔い改めよ」
「人の悪を取り除くイエス・キリスト」
「地獄の消えない火を逃れよ」
「亡びの道と、命の道がある」
とにかく、すべての言葉が強い。これらパワーワードの横に石崎が握りこぶしを作ったポスターが張られており、取り合わせの妙に思わずクスっとさせられる。
こういう写真に対し、石崎がどう投稿しているかというと、「重い言葉ですよね」「感謝と勉強の日々です」「とても含蓄のあるショット」「ポスター張りの意義を超えて、人間と人生について学んでおります」と、殊勝な文言が並ぶ。
これらの投稿に寄せられたフォロワーからのコメントにも、「意味ありげですね」「シェアさせていただきます」など、肯定的なものが目立つ。
某日、石崎の事務所を訪ね、こうした「キリスト標語」との「コラボ投稿」について本人に聞いてみた。炎天下の中、精力的な街頭演説などの活動で真っ黒に日焼けして、とてもエネルギッシュに見えた。
「自戒も込めまして。街角のキリスト看板はひとつひとつの言葉が強いですよね。政治家の選挙ポスターも、短いセンテンスで強いメッセージ性の言葉を選んでいるので、似ているところはあるのですよ」と話す。
「自戒」は投稿の裏テーマ
ご存じの読者も多いだろうが、石崎は2020年に、元秘書への暴行、傷害の疑いで新潟地検に書類送検され、新潟区検察庁から略式起訴、新潟簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受けている。これがもとで自民党を離党することになり、結果、議員辞職にも追い込まれた。2021年10月の総選挙で維新に鞍替えして出馬したものの、得票率7.6%と大惨敗を喫し、現在は浪人の身である。財務省から20代で県都1区の代議士になったエリート街道の石崎にしてみれば、今の立場はまさに「地獄の消えない火」に焼かれる想いかもしれない。現役の代議士の身で刑事訴追を受けたという意味では「神についての罪を悔い改めよ」の看板の横にポスターを張るのは、コメント通り、自戒の念であろう。
自民党を支持する新潟市の某経営者は「現職の時は、絶対にこのような『自虐ネタ』をするようなタイプではなかった。苦労して、キャラが変わったのかも。こういう真摯な姿勢なら、まだ若いし政治家としても期待できるのではないか」と話す。面白投稿は、おおむね肯定的にとらえられている。あと、くれぐれも「自虐」ではなく「自戒」である。
ところで、街角でよく見るキリスト教の看板だが、あれを作って各所に掲示しているのは、宮城県に本拠地を置く「聖書配布協力会」という団体らしい。1950年代に設立され、個々のキリスト者が互助的に活動するボランティア団体だ。この間の活動の中で、北海道から沖縄まで、全国に約50万枚の看板掲示を行っているという。
なにせ現代はSNSで選挙活動をする時代である。キリスト看板に限らず、今後も面白い背景と選挙ポスターという組み合わせは、周知拡散に使えるのではないか。うまくバズれば、政治に関心の薄い若い層にも浸透できるかもしれない。
(文・撮影 伊藤直樹) ※文中敬称略