新潟県弥彦村でブランド枝豆「弥彦むすめ」の出荷が始まる

新潟県弥彦村のブランド枝豆「弥彦むすめ」の出荷が4月30日に開始し、JA越後中央弥彦営農センターは5月7日、その出荷作業の様子を公開した。「弥彦むすめ」は県内で最も早い出荷時期と、枝付きでの提供が特徴であり、今後5月下旬から6月にかけてが出荷の最盛期となる。

今年は2月下旬から天候の良い日が多く、平年よりも日射量が多かったことから、「弥彦むすめ」は平年よりも2から3日ほど早い出荷となった。生産者の弥彦村野菜部会の吉野彰さんは今年の出来について「20年間『弥彦むすめ』を育ててきたが、4月中に出荷が始まるのは初めて。天候のおかげで例年より香りが良く、味も申し分ない。ぜひビールと一緒に味わってほしい」と自信を見せる。

赤い票せんが目印の「やひこ娘」

「やひこ娘」を収穫する弥彦村野菜部会の吉野彰さん

また「弥彦むすめ」は手作業で収穫し、そのまま枝付きで出荷されることも特徴であるが、これにより食べる直前まで鮮度が保てるのだという。機械による収穫や選別などの作業が不可能であり、他品種と比べて育成に手間がかかることから、料亭などでの提供が主となるブランド枝豆として定着している。

一方で2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で外食産業が落ち込んだことから、これまでほとんど流通していなかった県内スーパーマーケットでの取り扱いも始まっており、今年は全体の約9割を県内スーパーマーケットへ出荷するという。また、昨年には村のふるさと納税返礼品に加えられるなど、村外や県外への販路も広がっている。近年は「伊彌彦米」がブランド米として認知が広がりつつあるが、「やひこ娘」も一般に広く流通することで「伊彌彦米」に続くことが期待される。

枝豆を育成するハウス

出荷作業の様子

「弥彦むすめ」の生産者は村内に30件。近年は生産者の高齢化が課題となっているが、一方で、外からの移住者が枝豆農家となって新たに生産を始めることもあるという。JA越後中央弥彦農営センターの岡田和真氏は「毎年のように1、2件ほどの移住者が新しく枝豆農家を始めている。こうした状況はほかの地域ではあまり聞かないが、『弥彦むすめ』のブランドやこの土地自体が人を惹きつけているのではないか」と話す。

また、弥彦村では2022年に新たに枝豆の選果場が稼働する予定である。手作業で枝付きのまま出荷する「やひこ娘」は直接的には関わらないが、非常に早い時期に出荷する同品種は中生・晩生品種である「茶豆」や「さかな豆」と並行して育てている農家が多く、年間を通しての仕事量は減少する。特に高齢の生産者だけでなく、前述のような経験の浅い新規の農家にとっては枝豆栽培自体への参入のハードルが下がると考えられる。流通先だけでなく、生産者の変化にも注目だ。

現時点での出荷はハウスで栽培されたものであり流通はまだ少ない。今後はトンネル栽培、露地栽培のものと作型をリレーし、今後5月下旬から6月にかけてが最盛期となって、6月末まで出荷が続くという。

選果作業の様子

 

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