【今年の新潟米の行く末は?】新潟市内のホテルで「令和5年度新潟米懇談会」が開催、主要卸業者などが要望を伝える
JA全農にいがた(全農新潟県本部)は9月4日、新潟市中央区内のホテルにおいて、「令和5年度新潟米懇談会」を開催した。懇談会には、全国の本県産米取扱主要卸・実需者や県内関係機関など52人が出席した。
この懇談会は、令和5年産米の販売促進をはかるため、主要卸・実需者に対し、全農県本部の販売方針などを説明するとともに、新潟米について意見交換などを行うために開催された。
令和4年産のうるち米の契約数量は187万4,000トン(前年比96%)となっており、おおむね結び付けを完了している。一方、販売実績は128万5,000トン(前年比97%)となっており、現行の販売進度では令和5年11月以降への持ち越し数量は25万3,000トン(前年比14万3,000トン減)となることが試算されている。
4年産の価格動向については、農水省が公表した4年産7月相対販売価格(税別・裸換算)は、60キログラムあたり1万2,661円(前年同月差1,155円増)と、出回り時期の価格水準を維持している。市中価格(小口の業者間での取引価格)は、比較的低価格帯の銘柄が上昇から横ばいとなっている一方で、高価格帯銘柄は下落傾向で銘柄間格差が縮小傾向にある。
令和5年産の米の作柄概況は、農水省が8月31日に公表した令和5年産水稲の作柄概況(8月15日現在)では「やや良」が5道県、「平年並み」が34都府県、「やや不良」が7県見込まれている。
生育はおおむね順調に推移しているものの、地域によっては水不足や高温障害による収量・品質の低下がみられるとともに、今後の台風などによる影響についても注視していく必要がある状況だ。
新潟県は、新潟米生産の基本的な考えとして「需要に応じた米生産」を方針としている。主要米・非主要米を合わせた、新潟米全体での需要拡大や、生産者所得の最大化のための多様な米づくりなどを推進しているという。
「コシヒカリ」と「新之助」は、食味品質を確保するために食味を重視した米づくりを徹底。「こしいぶき」や「ゆきん子舞」などは、需要を踏まえ低コスト生産を推進。また、加工用米・輸出用米などについては、外食・食品産業などとの関係を構築し、多収穫生産などを推進していくという。
出席した主要卸業者からは、異常高温による米の品質低下への懸念や安定した米価での安定供給などの要望が伝えられた。また、生産コストや加工コストの上昇による現場の苦境が伝えられ、消費者や生産者、販売者などに配慮した価格設定についての要望も伝えられた。
懇談会終了後、JA全農にいがた運営委員会の伊藤能徳会長は、「今年の気象については、私どもも経験したことないような気象状況の中で生産者と努力してきた。おそらく若干の品質の低下はあると思う。そんな中で、我々は販売として全国に安定供給をしていきたいと考えている」と語った。