【10月から開始予定】東京商工リサーチ新潟支店が「インボイス制度に関するアンケート調査」の結果を公表

株式会社東京商工リサーチ新潟支店は9月12日、新潟県「インボイス制度に関するアンケート調査」の結果を公表した。調査は、8月1日~9日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答150社。

2023年10月、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まる予定だ。調査によると、インボイス制度の登録申請を終えたと回答した法人は96.4%に達した。だが、法人の23.9%が8月初旬までにインボイス受領の準備が「完了していない」ことがアンケートの調査結果から判明した。

インボイス制度が始まった場合、免税事業者との取引は「これまで通り」は6割強にとどまり、免税事業者とは「取引しない」と回答した企業は5.9%であった。また、「取引価格を引き下げる」と回答した企業は0.7%、「取引しない」を含めた6.7%の企業が免税事業者との取引にネガティブな意向を示した。ただ、「検討中」も3割強(32.0%)あり、制度開始が迫るなか、取引方針を決めかねる企業がまだ多いことがわかった。

 

インボイス制度を「知らない」と回答した企業は1.3%(150社中、2社)で、全国でも0.6%(5,896社中、37社)と僅かにとどまった。「よく知っている」は28.6%(150社中、43社)、全国31.9%(5,896社中、1,883社)、「大体知っている」は61.3%(92社)、全国56.2%(3,317社)、「少し知っている」を合わせた「知っている」は新潟が98.6%(148社)、全国は99.3%(5,859社)に達した。

Q1 2023年10月に導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」についてご存じですか?(択一回答) 報道資料より

 

法人のインボイス制度の登録状況を調査すると、すでに「申請した」は96.4%(140社中、135社)に達した。また、「2023年9月末までにする予定」は1.4%(2社)で、これらを含め登録意向を示す企業は97.8%(137社)にのぼる。一方、「(申請を)しておらず、方針は決めていない」が0.7%(1社)、「しておらず、する予定はない」は1.4%(2社)にとどまった。

Q2 Q1で「よく知っている」、「大体知っている」、「少し知っている」と回答された方に伺います。適格請求書発行事業者の登録申請はしましたか?(択一回答) 報道資料より

免税事業者を除き、インボイス制度を理解している法人にインボイス受領の準備について調査すると、「完了している」は76.0%(138社中、105社)、全国は71.7%(5,429社中、3,897社)で、何れも7割超がすでに準備を終えたと回答した。一方で、「完了していない」は23.9%(138社中、33社)、全国28.2%(5,429社中、1,532社)であった。制度開始までの残り期間は僅かとなっているが、まだ準備できていない(していない)企業は新潟、全国ともに2割以上あり、対応は二分化している。

Q3 Q1で「よく知っている」、「大体知っている」、「少し知っている」と回答された方(免税事業者は除く)に伺います。インボイス受領の準備は完了していますか?回答時点の状況を回答ください(択一回答)報道資料より

インボイス制度に登録しない免税事業者との取引について、「これまで通り」は61.1%(134社中、82社)、全国55.4%(5,390社中、2,989社)であった。一方、「免税事業者とは取引しない」は5.9%(8社)、全国8.3%(451社)、「取引価格を引き下げる」は0.7%(1社)、全国3.4%(184社)で、取引打ち切りや取引価格の引き下げを求める企業が6.7%(9社)、全国は11.7%(635社)を占めた。こうした動きが強まると、制度開始時に免税事業者への影響が出る可能性もある。また、「検討中」は32.0%(43社)、全国32.7%(1,766社)で、まだ3割強の企業が態度を決めかねている。

 

Q4 Q1で「よく知っている」、「大体知っている」、「少し知っている」と回答された方(免税事業者は除く)に伺います。インボイス制度導入後、免税事業者との取引はどうする方針ですか?(択一回答)

東京商工リサーチ新潟支店はレポートの中で、「制度が開始すると、登録番号の確認や入力、記載要件が不備の適格請求書、課税事業者と免税事業者への対応に混乱が生じる可能性もあるほか、認識不足から独占禁止法や下請法上の問題が発生する事態も想定される」と指摘。

また、「インボイス制度登録は任意で、免税事業者を選択する事業者は基本的に小・零細規模のため、煩雑な作業などの事務負担も大きい。政府や国税庁は消費税を相殺できる経過措置だけでなく、丁寧な支援を継続し、取引先も小・零細事業者への配慮ある対応が求められる」と分析している。

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