コジマタケヒロのアルビ日記2023 Vol.16 舞行龍ジェームズ 「積み上げた結果」
若手の台頭が目覚ましい今季の中にあって、存在感を示しているベテラン選手がいる。15歳で来日し、その後、日本国籍を取得。闘志むき出しのディフェンス、最終ラインからの狙い澄ましたフィード……、ニュージーランドからやってきた最終ラインの番人・舞行龍ジェームズ選手は、2019年以来経験するJ1の舞台について聞くと、こんなふうに話を返した。
「J1の厳しさを、僕だけではなく、チームのみんなも感じていると思います。残り試合が少なくなってきた今、一つでも上の順位でシーズンを終えられるよう、とにかく連勝することを念頭に練習に臨んでいます。僕たちは毎試合、悪い内容の試合をしているわけではないと思いますが、連勝ができていません。今季、積み重ねてきた僕たちのスタイルの精度を上げ、とにかくいい形で勝ちも積み重ねたい」。
3年前のシーズン開幕前、舞行龍選手に話を聞いたときに「今季を新潟のポゼッションサッカーの礎となるシーズンにしたい」という旨の話をしてくれたことがある。
「チーム全体として意識もしているし、試合でもボールを持つことができているから、自信を持ってプレーできていると思います。しかし、最後の質、ゴール前での精度は上げなければならない。これさえできれば、ACLだって狙えると個人的には思っています。残りの試合、連勝という結果を残すためにも先制点にこだわってプレーしていきたいと思っています。そのために必要なのは、選手それぞれ、一人一人が自らを磨くこと。この1年、選手は各々課題を自らに課して練習を、試合を積み重ねてきました。クロスの練習をずっとしている選手もいれば、シュート練習を黙々とする選手だっています。そのやり続けてきたことをシーズンの最後の部分でなんとか出したい。結果が出るまでは、長くて険しい道だとは思います。だけど、諦めず、信じてやり続ける。そうすれば、必ずいつか、試合の中で結果として出ると信じて、サポーターの後押しを受けて、とにかくやり続けるだけです。〜中略〜今の新潟のサッカーはやっていて楽しいですよ。充実感はあります。でも、楽しいだけでは、皆さんに認めてもらえない。一番大事なのは、結果。僕たちと同じようにサポーターの方々も結果を一番欲しがっていると思います。勝利という結果を届けられるようにやり続けるだけです」。
一時期の猛暑が少し落ち着いたとはいえ、まだ連日30度を超える日が続く聖籠町。9月13日の練習後、真摯に話を聞かせてくれた舞行龍選手に「残り試合、個人的な目標は?」と聞いてみた。
「点が取りたいですね。僕はJ1リーグでまだ1点しか取ったことがありません。セットプレーで点を取れたらチームも楽に試合を進められるし、僕自身の価値も高まる。だから、ゴールが欲しいです。もちろん、守備ではほかのディフェンダーやゴールキーパーと連動して、無失点にこだわります」。
「話を聞かせてくれて、ありがとうございました」。
そう伝えると
「また話を聞いてください。ありがとうございました」。
と返ってきた。
なんだか清々しく、実に気持ちがよくなった。
と同時に、クラブハウスへ向かう闘将の背中がなんだかいつもに増して頼もしく見えた。