【にい経編集部発】記者コラム&今週の主なニュース
編集後記
「ユニクロの服は部品」
知人の経営コンサルタントは、経営とは「客を増やすこと」と話すが、昔から上場企業の決算発表会に出席してきた記者としては、究極的には経営とは「売り上げの拡大とコストの削減」であると思う。
売り上げの拡大とは、新規出店や新商品の投入、取引先の拡大などが挙げられる。一方、コストの削減とは、売上原価と販管費の削減だろう。つまり、原材料費の見直しや取引先の集約とともに、人件費や販促費の削減となるだろう。
ところで、昔から言われている理論で、マーケティングの4Pという理論がある。プレイス(場所)、プライス(価格)、プロダクト(製品・商品)、プロモーション(広告宣伝)の頭文字をとって4Pである。この理論は特に小売業向けかもしれないが、プライス、プロダクト、プロモーションは他の産業にも応用できるだろう。
この理論に当てはめて話したいのが、ファーストリテイリング「ユニクロ」だ。プレイスでいえば、当初はロードサイド型(郊外型)だったが、原宿店やフリースブームで爆発し、知名度を確立した後は、一等地の銀座に旗艦店をオープンしたほか、全国のファッションビルやショッピングセンターに出店している。
プライスでは、ファストファッショションであるため、当然ながら低価格路線である。最近は「ユニクロ」の価格も上がってきてはいるが、例えば、国内ジーンズブランドの黒のチノパンを1万円弱で買ったのだが、数ヶ月で膝部分が赤く変色してしまった。買い直してもこれが何回もあり、結局、現在は3,000円台の「ユニクロ」で購入した黒のチノパンを愛用している。低価格で品質が良ければ、そちらの方に消費者は流れる。
「ユニクロ」はSPA(製造小売業)であり、メーカー機能を持つ小売業である。消費者ニーズを反映した商品企画ができるのが売りで、ここまで拡大してきた。
最後にプロモーション。当初から芸能人を使ったCMを打ってきたが、最近では綾瀬はるかが主演で、サザンオールスターズが唄である。「ユニクロ」の弱点、ブランド力を補うのに十二分なキャストである。
東京の雑誌記者時代に、東京証券取引所での決算説明会でジーンズ姿の「ユニクロ」柳井正会長を一度だけ拝見したことがある。小柄で、口調もとつとつとしていたが、一代で山口県の紳士服店を連結売上高1兆4,000億円台にまで拡大したカリスマ経営者である。柳井会長が「ユニクロの服は部品だ」と言っていたことも印象に残っているが、その信念の強さは並々ならぬものがあるだろう。
弊社も読者ニーズを大切にした日々の報道を心がけ、「にい経ファン」を増やしていきたいと思う。
(編集部 梅川康輝)
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