【企業IRセミナーハイライト】岩塚製菓が描く未来 —— 旺旺集団との協働強化とアメリカ市場再進出

米菓メーカー大手の岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)は2023年9月14日、ホテルオークラ新潟(新潟市中央区)で開催された「新潟県上場企業IRフォーラム2023」において、企業IRセミナーを行った。

岩塚製菓の企業IRセミナーには、今年6月に代表取締役社長COOに就任した槇大介氏が登壇。岩塚製菓グループの紹介や現在の取り組み、中期経営計画(2022年度~2024年度)における現在地と今後の展望などを説明した。

 

【チャネル戦略】全市場のニーズや変化に迅速に対応する岩塚製菓グループ

岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)の槇大介代表取締役社長COO

槇COOは、さまざまな市場のニーズや変化に対して、岩塚製菓グループ各社によって迅速に対応する「チャネル戦略」について説明した。

岩塚製菓グループは、スーパーやコンビニエンスストア市場を中心に商品展開を行う岩塚製菓(本体)のほか、直営店舗や百貨店、ネット通販市場への商品展開を行う株式会社瑞花(新潟県長岡市)や株式会社新潟味のれん本舗(新潟県長岡市)、さらにドラッグストアやディスカウントストアなど低価格な良質商品を扱う旺旺・ジャパン株式会社(東京都)などで構成している。

高価格帯商品の市場から低価格帯商品の市場まで、グループ全体ですべての市場をカバーし、顧客ニーズの変化や市場変化に迅速に対応できる強みを持つ。

槇COOは、「お客様の食に対するニーズに応じてチャネル戦略を実践することによって、顧客接点の拡大を図っている」と説明した。

 

【世界戦略】旺旺集団(グループ)との協働、アメリカ市場への輸出再開を発表

岩塚製菓と強い「縁」で繋がっている旺旺集団(グループ、中国)との協働も注目のひとつだ。岩塚製菓は1983年に旺旺集団と技術提携を契約。旺旺集団は堅実に成長を続け、現在では中国全土に38か所の向上を有し、世界61カ国に進出。年商は4,600億円規模の総合食品メーカーとなっている。

【関連記事】台湾企業・旺旺集団(ワンワングループ)と親密な提携関係を維持する岩塚製菓株式会社、「旺旺集団は家族」(2022年2月23日掲載)

2022年3月には旺旺ベトナムのホーチミン市工場が本格稼働した。岩塚製菓から技師を派遣して技術指導を務めながら、アジア市場の深耕に向けた商品開発も合わせて協力している。

国内では、岩塚製菓の関連会社の旺旺ジャパンが好調。2022年度の売上は約8億9,400万円で、前年比141.6%と大きく伸長した。今後も旺旺集団との協働により、日本の食文化を世界に広げる活動を進めていくという。

アメリカ向け商品「BEIKA」を紹介する槇COO

一方、コロナ禍で停止していたアメリカ向け商品「BEIKA」の輸出を9月から再開する。「BEIKA」は、グルテンフリー・ビーガンを訴求した商品を中心に開発したもので、五円玉をモチーフにしたブランドロゴと華やかなレインボーカラーのパッケージで展開する。今期は売上高2,000万円を目標とし、3年後には売上高1億円を目指す。

アメリカ向け商品「BEIKA」(提供 岩塚製菓株式会社)

 

【中期経営計画】経営目標を上方修正、「BEIKA Lab」による成長戦略

「新しい岩塚価値の創造」をスローガンに、2022年度から3か年計画でスタートした中期経営計画は、今年度が2年目。現状の取り組みと、今後の展望について説明した。

経営目標については、中期経営計画初年度での売上が大幅達成したことにより計画を見直し、年平均成長率を7.1%に上方修正した。

2023年度の売上高は218億円、営業利益は2億5,000万円を計画。中期経営計画最終年度となる2024年度は、売上高221億円、営業利益は3億円、営業利益率1.4%を目指す。

今中期経営計画では事業構造の改革・利益体質化を実現させ、次期中期経営計画となる2025年度以降は利益面を強化。2031年度に売上高300億円、営業利益10億円規模を目指すとした。

製造・開発においては、2021年から本格稼働を開始した研究開発機能を有する工場「BEIKA Lab」による成長戦略を遂行する。

槇COOは、「次の10年を支える成長戦略の一つがBEIKA Labによる成長戦略。大きな投資は完了し、引き続き新規商品の開発を行うとともに、あらたに約5億円を投じて『田舎のおかき』ラインの設備投資を実施する。増産による生産能力は金額にして月約2億円分。開発と生産で今後の当社を牽引していくものと考えている」と話した。

セミナーの最後に、槇COOは、「現在経営環境は大きく変化しており、解決しなければならない課題は多く、待ったなしの状況。この変化に適用し課題を乗り越えていくために、あらためて創業の想いを胸に刻み、あらたな社会的価値、経済的価値を生み出す『創新と協働の精神』でさらなる成長への挑戦を続けてまいります」と力強く語った。

————————

岩塚製菓の企業IRセミナーには、会場内に用意された約150の座席が満席となり、さらに立ち見客が出るほど、多数の個人投資家の関心の高さが伺えた。

厳しさを増す日本国内市場において、岩塚ブランドの強化による価値提供の増強、そしてコロナ禍を経て本格化させるアメリカ市場への輸出など、今後の岩塚製菓の動きに期待と注目が集まる。

(文・撮影 中林憲司)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓