【にい経編集部発】記者コラム&今週の主なニュース
編集後記
談合と官製談合
まだ雑誌記者になって駆け出しのころ、ひょんなことから「北陸信越の談合仕掛け人」という人物に会ったことがある。
もう25年ほど前の話になるが、当時の東日本では、そこそこ大きな公共工事が発注されると、「建設」と「土木」のそれぞれに「交通整理役」がいた(と記者は教えられた)。記者が会ったのは「土木」の仕掛け人「だった」という人物。大手建設会社の社外役員だったと記憶する。「建設」の仕掛け人もやはり大手建設会社の社員だと言われていた。
仕掛け人氏は「談合は必要悪だから無くならない」「日本人の文化には競争よりも談合の方が合っている」と駆け出し記者相手にとうとうと説く。当時は「そんなものかな」と思いつつ、喉の奥の方に変な違和感が残ったのを覚えている。
「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」いわゆる「官製談合防止法」が交付される少し前の出来事だった。もちろん新潟市の下水道建設課をめぐる官製談合事件が表沙汰になる以前の話。全国2例目となる新潟市の官製談合が特定されたのは2004年10月、その年の7月に公取委は大手ゼネコン113社に対し、談合行為を止めるように排除勧告を出した。この時、建設業界に「コンプライアンス」という言葉が初めて定着したように思う。
冒頭の駆け出し記者は、その当時「談合は必要悪なのか、必要ない悪なのか」という問いに対し、すぐに答えを出せなかった。しかしその後、記者生活の中である答えにたどり着いている。談合の当事者が「談合は必要悪だよ」と悪びれない態度なのはやはり違う。
互助会的な談合システムは、企業の経営努力や企業間競争を否定する。寝る時間も削って会社の存続と社員の生活を考えている中小企業の社長を、取材を通してたくさん見てきた。積算方法やコスト削減など、企業努力や研鑽を続ける建設業者もたくさん取材した。
ましてや「官」が絡む官製談合になると「談合の美徳」すら、そこにない。官製談合は、明治維新以降に官僚が構築してきた「官僚による国民支配」の構図だ。最低制限価格を漏らすだけが官製談合ではない。「ある業者を恣意的に指名業者から排除している」といった事例も、官製談合の姿で、これこそ「官僚による建設業者への支配構図」と言える。
新潟県新発田地域振興局と株式会社岩村組の「官製談合防止法」違反事件を見て、そんな昔の話をつらつらと思い出していた。
(編集部 伊藤直樹)
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